Neo4j

柔軟性、性能、スケーラビリティを兼ね備えたグラフデータベース
Neo4jは、関係型データベースの性能問題を解決するために、2000年頃から開発が始まったグラフデータベースです。グラフデータベースは、グラフを描画するのではなく、グラフ理論の頭脳をもってデータ処理を行うことができる、とても汎用性の高いデータベースです。多様なメリットが期待され、不正検知、リアルタイムでの商品レコメンド、マスターデータ管理なども実現できます。

AIに、企業の「つながり」を理解させる。

顧客、製品、契約、部品、規程、担当者。企業の知識は、個々のデータよりもその関係の中にあります。Neo4jのナレッジグラフは、既存のデータレイクやDWHを活かしたまま、AIに企業固有のコンテキストを与える基盤です。

CHALLENGE

生成AIの導入は進んだ。業務で使える精度に届かない理由がある。

PoCでは手応えがあったのに、本番の業務では回答が浅い、根拠が示せない、部門をまたぐと使えない。多くの場合、原因はモデルではなく、AIに渡している企業のコンテキストにあります。

文書の断片しか渡せていない

ベクトル検索だけのRAGは、似た文章を見つけるのは得意でも「この部品を使う製品の、影響を受ける契約はどれか」のように複数の事実をつなぐ問いに答えられません。

部門ごとにデータが分断されている

営業のCRM、製造のBOM、法務の契約書、ITの構成情報。それぞれは整っていても、部門をまたぐ関係はどこにも記録されておらず、AIも人も横断的に辿れません。

根拠と権限を説明できない

回答がどのデータに基づくのか、その利用者が見てよい情報なのか。説明と統制ができなければ、エンタープライズの本番業務には載せられません。

WHY NEO4J

ナレッジグラフが、AIのコンテキスト層になる。

Neo4jは、データを「ノード(もの)」と「リレーションシップ(関係)」として保存・処理するグラフデータベースです。関係そのものをデータとして持つため、何段階にもまたがるつながりを高速にたどれます。

  • GraphRAGで回答の精度を上げるベクトル検索で入口を見つけ、グラフで関連する事実をたどる。文書の類似度だけでは届かない問いに、つながった根拠で答えます。
  • 根拠を経路として示せるAIが参照したノードと関係を、そのまま根拠として提示できます。「なぜその答えか」を人が検証できる形で残せます。
  • 権限と統制をデータ構造で表現する組織・役割・データの関係をグラフで表すことで、誰がどの情報にアクセスできるかを、AIの検索範囲にも反映しやすくなります。
  • AIエージェントの記憶と文脈を持たせる業務エンティティや過去のやり取りをグラフとして蓄積し、エージェントが状況を理解して動くための共有メモリにできます。

ベクトル検索のみ

質問に似た文章の断片を取り出す。断片同士の関係はわからないため、複数の事実を組み合わせる問いには弱い。

ベクトル+グラフ

見つけた入口から、関係をたどって必要な事実を集める。回答と一緒に、たどった経路を根拠として返せる。

CONCEPT

エンタープライズナレッジレイヤーとオントロジー

サイロ化した社内データに「意味」と「関係」を与え、LLM・AIエージェントが正しく理解できる共通基盤をつくる。

社内のサイロ化データ

  • 基幹システム(ERP・生産管理)
  • 顧客・営業データ(CRM)
  • 文書・設計書・社内ナレッジ
  • IoT・センサー・品質データ

Enterprise Knowledge Layer

エンタープライズナレッジレイヤー

オントロジー

業務の概念・関係・ルールを定義する「意味の設計図」。メタデータを全社で統一します。

ナレッジグラフ

Neo4jで実データをノードと関係として接続し、文脈ごとAIへ提供。ベクトル検索とも統合します。

活用先

  • 生成AI/LLMアプリ
  • AIエージェント
  • BI・業務アプリケーション

Accurate正確性

企業固有の文脈を踏まえ、回答精度を高める

Explainable説明可能性

回答の根拠を「関係」として辿れる

Trusted信頼性

アクセス制御・ガバナンスを一元的に適用

USE CASES

エンタープライズの業務で、こんな問いに答えられるようになります。

共通するのは「つながりをたどらないと答えが出ない」問いです。

製造・調達

サプライチェーンの影響分析

部品、サプライヤー、拠点、製品、出荷先の関係をグラフ化し、供給リスクが発生した際の影響範囲を即座に特定します。

Qこの工場が止まったら、どの顧客のどの納期に影響する?

営業・マーケティング

顧客360とレコメンド

取引履歴、契約、問い合わせ、組織関係を結びつけ、顧客の全体像をAIが理解したうえで提案や対応を支援します。

Qこの顧客グループで、次に提案すべき製品と担当者は?

金融・リスク管理

不正検知とリスクの可視化

口座、取引、デバイス、住所などの関係から、個別の取引データだけでは見えない不自然なつながりを検出します。

Qこの取引の相手先は、過去の不正案件とつながっている?

IT・セキュリティ

システム依存関係と権限の把握

アプリ、API、インフラ、アカウント、権限の関係をグラフで管理し、変更影響や過剰な権限を洗い出します。

Qこのサービスを更新すると、どの業務システムに波及する?

法務・コンプライアンス

規程・契約のナレッジ検索

社内規程、契約条項、法令、対象業務の関係を構造化し、GraphRAGで根拠となる条文を示しながら回答します。

Qこの新規取引に適用される社内規程と、承認が必要な部門は?

全社・DX推進

AIエージェントの共有コンテキスト

業務エンティティと手順をグラフとして整備し、複数のAIエージェントが同じ企業理解のもとで協調できる土台をつくります。

Qこの申請を処理するために、どのシステムと誰に確認すべき?

ARCHITECTURE

データレイクやDWHは、そのまま。Neo4jは「関係」を担う層として加わります。

Neo4jは既存のデータ基盤を置き換えるものではありません。データレイクやDWHは全社データの蓄積と集計の中心として残し、そこから業務エンティティとその関係をグラフとして切り出して、AIが使えるコンテキストにします。

発生源

データソース

  • 基幹システム(ERP・生産・会計)
  • SaaS(CRM・SFA・ITSM)
  • 文書(契約書・規程・マニュアル)
  • ログ・イベント

蓄積・集計(既存)

データレイク・DWH

  • 全社データの一元的な蓄積
  • データ品質・マスタ管理
  • 集計・BI・レポーティング
  • 機械学習の学習データ

関係・コンテキスト(追加)

Neo4j ナレッジグラフ

  • 業務エンティティと関係のモデル化
  • 多段の関係探索(Cypher)
  • ベクトル索引とグラフの組み合わせ
  • グラフアルゴリズムによる分析

活用

AIアプリ・エージェント

  • GraphRAGによる社内QA
  • MCP経由のエージェント連携
  • 影響分析・レコメンド
  • 業務アプリへの組み込み

全層共通アクセス権限・監査ログ・データリネージを一貫して管理

DWHとNeo4jの役割の違い

観点データレイク・DWHNeo4j
得意な問いどれだけ・いくら(集計、傾向)何と何が、どうつながっているか
データの持ち方テーブル(行と列)。関係は結合で都度計算ノードと関係。関係自体を保存
得意な処理大量データのスキャンと集計多段の関係探索、経路・影響範囲の特定
モデル変更スキーマ設計を前提に安定運用新しい関係や属性を後から追加しやすい
AI活用での役割学習データ・分析結果の供給源推論時にAIへ渡すコンテキストの提供

全社データの「正」はDWHに置いたまま。Neo4jはAIと業務のために、関係に特化したビューを持つ位置づけです。

既存基盤とつなぐ3つのパターン

バッチ連携で、DWHからグラフを構築

Apache Sparkコネクタや各種ETLツールで、DWH・データレイク上の整備済みデータから定期的にグラフを生成・更新します。まず始めやすい構成です。

ストリーミングで、変化を即時に反映

Kafka連携やCDCを使い、業務システムの更新をリアルタイムにグラフへ反映。不正検知や在庫・供給の監視など鮮度が重要な用途に向きます。

グラフ分析の結果を、DWHへ還流

中心性やコミュニティ検出などのグラフ分析で得たスコアや特徴量をDWHに戻し、既存のBIや機械学習モデルで活用できます。

OUR SUPPORT

構想から内製化まで、クリエーションラインが伴走します。

Neo4jの製品提供に加え、グラフモデリングやAI基盤の設計、チームの立ち上げまで。お客様の組織が自走できる状態をゴールに支援します。

1

2〜4週間目安

ユースケース設計

ワークショップで業務課題とAIに答えさせたい問いを整理し、グラフ化する範囲と効果の見立てを明確にします。

2

1〜3か月目安

PoC・グラフモデリング

既存データを使って小さなナレッジグラフを構築し、GraphRAGやエージェント連携の精度を実データで検証します。

3

要件に応じて

本番アーキテクチャ構築

DWH・データレイクとの連携方式、権限設計、可用性、運用監視を含めた本番環境を設計・構築します。

4

継続

運用・内製化支援

ハンズオンやペアワークを通じて、お客様のチームがグラフモデルを育て、ユースケースを広げていける体制をつくります。

AI駆動開発プラットフォームの一部として設計

Neo4jを単体で導入するのではなく、開発・検証・デリバリー・実行基盤まで含めたAI活用の全体像の中で、データとコンテキストの層として位置づけます。

クラウドネイティブとDevOpsの実績

Kubernetes、クラウドネイティブ、DevOps、プラットフォームエンジニアリングの知見を活かし、止まらない・運用できる基盤をつくります。

アジャイルな伴走スタイル

大きな計画を先に固めるのではなく、小さく検証して学びながら広げる。エンタープライズの現場で積み重ねてきた進め方です。

FAQ

よくあるご質問

既存のDWHやデータレイクを置き換える必要はありますか?

いいえ、置き換えは不要です。DWH・データレイクは全社データの蓄積と集計の基盤として引き続き活用し、Neo4jはそこから関係に着目したデータを取り込んで、AIや業務アプリ向けのコンテキスト層として併用する構成が一般的です。

すでにベクトルデータベースでRAGを構築しています。併用できますか?

はい。Neo4jはベクトル索引の機能も備えているため、ベクトル検索とグラフ探索を一つの基盤で組み合わせることもできますし、既存のベクトルデータベースと役割を分けて併用することも可能です。現状の構成と課題に合わせてご提案します。

グラフのモデル設計は難しくありませんか?

業務でよく使う言葉(顧客、製品、契約など)をそのままノードと関係に置き換えていくため、テーブル設計よりも業務担当者と議論しやすいのが特長です。最初は答えたい問いに必要な範囲だけをモデル化し、段階的に広げていく進め方をおすすめしています。

クラウドとオンプレミス、どちらで利用できますか?

フルマネージドのクラウドサービス(Neo4j AuraDB)と、自社環境に導入するセルフマネージド版の両方があります。データの所在やセキュリティ要件、既存基盤との連携方式を踏まえて最適な形態をご提案します。

どのくらいの期間でPoCを始められますか?

ユースケースと対象データが明確であれば、ワークショップから数週間でPoCに着手できるケースが多いです。まずはお気軽に現状の課題をお聞かせください。

AIが企業を理解する基盤を、一緒につくりませんか。

ユースケースの整理から、既存のデータ基盤を活かしたアーキテクチャの検討まで。
Neo4jとAI活用に詳しいエンジニアがご相談を承ります。