アーキテクチャConference 2025 参加レポ

概要

2025年11月20日・21日に開催された「アーキテクチャConference 2025」に参加しました。私は21日のみ参加で、会場の雰囲気や印象に残ったセッションを中心に共有しようと思います。昨年は約2,500名の申し込みだったところ、今回は5,000名以上と規模を拡大していたようです。

会場の雰囲気と展示

会場では、参加企業が公開しているプロダクトのアーキテクチャ図が紹介されており、眺めているだけで各種各様で興味がそそるものばかりでした。展示されていたアーキテクチャ図は Findy tools で公開されています。

基調講演者のグラフィックレコーディング

該当の基調講演は予定の都合上、聴講できなかったのですが、グラフィックレコーディングが掲示されていて、そこから理解できた範囲で学びを得られました。特に印象に残ったのが、「マイクロサービス=正義、モノリス=悪」という単純な二項対立を否定し、段階を踏んでマイクロサービス化していくことが大事、というメッセージです。

過去にモノリスなアプリケーションで苦労した経験があると、ついマイクロサービスを“答え”として信じたくなります。しかし本当に悪いのはモノリスそのものではなく、モノリスが「泥の塊(Mud)」になってしまっている状態だ、という指摘は腹落ち感がありました。

ではどうするか。紹介されていた方向性は、いきなり分割せずにまずは「モジュラーモノリス化」して内部を整理すること、そしてデプロイとリリースを分離しつつ、インクリメンタル(段階的)に進めることでした。

私自身、「分割できないほど癒着している」状態に心当たりがあるからこそ、最初の一手として“整理から入る”発想を持てたのは大きな収穫でした。

セッション

全てのセッションは見切れていませんが、気になったものをいくつかピックアップして紹介します。

マルチプロダクトを支えるスケーラブルなデータパイプライン設計

データ起因の不具合の話が特に参考になりました。中でも、データコントラクトで想定外のデータ流入を防止できるという話は自分でも調べてみようと思えたテーマでした。

手が足りない兼業データエンジニアに必要だったアーキテクチャと立ち回り

少人数でデータ基盤を運用する現場のリアルな苦労や、少ない人数でも回る設計の話があり、自分もデータ基盤に従事している身として共感が多かったです。 また、「SQLを書ける書けない」で全社のデータ活用が進みにくいという課題感に対して、生成AIの登場で敷居が下がってくればいいなと感じました。

[基調講演] そもそも「レジリエンス」とは何か

英語セッションでちゃんと理解できているかは怪しいですが、内容としては「レジリエンス」という言葉を定義から問い直すもので、冗長化のような“手段”ではなく、期待どおり/想定外の状況でも必要なオペレーションを維持できるか、という観点が中心だったとのことです。Resilience Engineering は「できるだけ多くのことがうまくいく」状態をつくり、状況が変わっても運用を継続できるようにする考え方として紹介され、状況や課題に応じて“使うモデル”を切り替える重要性にも触れられていました。

最後に

アーキテクチャConference 2025では、「モノリス vs マイクロサービス」のような単純な構図ではなく、段階的に整理・移行していく考え方が印象に残りました。あわせて、データ品質の担保(データコントラクト)や、レジリエンスを“運用を維持する力”として捉え直す視点など、設計と運用を見直すヒントが多いイベントでした。

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