CFOはエンジニアの議論をどう聞いているのか
はじめに
クリエーションライン株式会社CFOの岡です。
今年も残りわずかとなってしまいました。クリエーションラインに入社して3年ちょっと経ちましたが、今回はCFOはエンジニアの議論をどう聞いているのかについて書いてみようと思います。
まずは、超簡単に私のバックグラウンドを説明させていただきますと、私のキャリアスタートは会計事務所から始まり、監査法人、会計コンサルティングの会社と会計専門を中心とした会社で約10年、その後、事業会社を3社ほど経験した後、2022年にクリエーションラインに入社しました。エンジニアの会社はクリエーションラインが初めてです。
CFOというと、数字だけ見て「それはいくら儲かるの?」と言う人、というイメージがあるかもしれません。そのイメージは、完全には否定できませんが、ただ、エンジニアが中心の会社で仕事をするようになって、その考えは変わりました。
技術は「分からないから口出ししない」で済ませてしまうと、気づかないうちに経営判断そのものからズレてしまう。だからこそ、CFOとして技術の議論にどう向き合うかは、とても重要だと感じています。
エンジニアの議論を聞くときに見ている3つの視点
① 問題設定は、経営として“今”解くべきものか
まず確認したいのは、その議論が解こうとしている問題が、経営として今向き合うべき課題なのかという点です。
顧客体験に直結する話なのか、競争力に影響するのか、あるいは将来の成長を左右する布石なのか。技術的に重要であっても、タイミングを間違えると経営判断としてはズレてしまいます。
CFOとしては、「この課題を放置した場合、いつ・どんな形で経営に影響が出るのか」を意識して聞いています。
② その判断は、何を捨てて何を取る決断なのか
次に気になるのは、トレードオフが整理されているかです。
経営判断に「全部良い」はほとんどありません。
スピードを取るのか、将来の柔軟性を取るのか。短期的なコストを抑えるのか、長期的な競争力を取るのか。
CFOは、「何を諦める判断なのか」を理解した上で意思決定したいと思っています。
それが言語化されている議論は、たとえ難しい判断でも、経営として腹をくくりやすくなります。
③ その結果、将来の経営の選択肢は増えるのか
最後に見ているのは、その判断が将来の経営の自由度をどう変えるかです。
短期的には楽でも、特定の技術や人に強く依存する構造になると、後から方向転換が難しくなります。
逆に、今は少し大変でも、後から複数の選択肢を持てる設計は、経営にとって大きな価値があります。
CFOは技術判断を、「将来の意思決定のオプションを増やすか、減らすか」という視点で見ています。
エンジニアに伝えたいこと
この3つの視点が整理されていると、CFOは「技術の中身がすべて分からなくても」経営として判断を引き受けることができます。
CFOに説明するとき、必ずしも数字を完璧に揃える必要はありません。
それよりも、「なぜそう判断したのか」「他にどんな選択肢があったのか」といった判断材料を共有してもらえると、とても助かります。
CFOは技術を評価するというより、判断を一緒に引き受ける役割だと思っています。
まとめ
技術と財務は、対立するものではありません。
どちらも「会社として、より良い選択をするための視点」です。エンジニアの皆さんが考えていることを、少しでも正しく理解できるよう、これからも議論には積極的に参加していきたいと思います。
