「型」から「価値」へ。不信感を拭い、自分の言葉で伝えたEngineering All Hands 2026

はじめに
2026年3月3日、横浜にて開催された「Engineering All Hands 2026(EAH)」に登壇してきました。クリエーションラインのエンジニアが全員集まるという大きな舞台で、私自身の葛藤や変化を共有する機会をいただきました。
これまで「発表とは事実のみを伝えるもの」と思い込んでいた私の先入観が、このイベントを通じてどのように変わったのか。当日の内容と、発表準備を通して得た気づきをレポートします。
イベント概要
- イベント名: Engineering All Hands 2026
- 日時: 2026年3月3日(火)
- 場所: 横浜市開港記念会館
会場は国の重要文化財にも指定されている非常に趣のある建物で、歴史を感じる空間での発表はとても緊張しましたがよかったです。

発表内容:教科書スクラムへの不信感をどう拭うか
私はAgile CoEの矢田さんと共に、「『研修で教える』ではなく『一緒に現場で実践する』ことで教科書スクラムへの不信感を拭う」というテーマで発表しました。
なぜ「不信感」があったのか
実は私は、以前からアジャイルやスクラムに対して「本当にプロジェクトを良くするのか?」という不信感を抱いていました。
- 新卒研修で学んだ「教科書通りの型」と現場でのギャップ
- 「イベントをこなせばコミュニケーションが取れる」という言葉への違和感
- 自分たちの状況に合わない振り返りや、かえって速度が落ちるように感じたモブプログラミング
これらへの不満が、いつしか「アジャイルって怪しいのでは?」という疑念に変わっていました。
「型」ではなく「価値」を追う実践
そんな私が、矢田さんと一緒にある会社のPoC案件に入ったことが大きな転換点となりました。矢田さんは「スクラムガイド通り」にやることを最初から捨てていました。代わりに大切にしたのは、「どうすればユーザーに喜んでもらえるか」「どうすればチームが仕事しやすくなるか」という2つの本質的な問題でした。
- ペアプロの役割を忘れる: 「ドライバーだから喋っちゃいけない」といった型に縛られず、まずは画面を共有して意見を出し合う関係性を重視。
- 雑談の中で振り返る: 1週間の枠を待たず、その場その場で大事なことを話すスタイル。
この3ヶ月のプロジェクトを通じて、私の考えの軸は「型を守ること」から「顧客に価値を届けること」へと変化していきました。

発表準備での葛藤:染み付いた「正しい発表」の呪縛
プロジェクトを通じて「型より価値」を学んだはずの私でしたが、いざこの体験を発表しようと資料を作り始めると、再び「型」の壁にぶつかりました。
私は学生時代から、「プレゼンとは学術的な事実と検証に基づき、主観を失くして結果と考察を主張するもの」という教育を受けてきました。その影響で、「自分の気持ちがこう変わった」という主観的な話を公の場で話すことに、無意識の抵抗感がありました。
「こんな個人の感想レベルの話をして、誰かのためになるのだろうか?」「もっと客観的な成果を並べるべきではないか?」のような葛藤がありました。
学び・気づき:あなたの体験が誰かの「ガードレール」になる
そんな私の迷いを消してくれたのが、一緒に登壇した矢田さんの言葉でした。
「あなたの体験談は、誰かのアドバイスになるし、誰かが同じ経験をしないような体験談にもなる」
この言葉と考え方はとても衝撃的でした。今まで、事実と根拠のみが人に影響を与える唯一の手段だと思っていましたが、実は一人のエンジニアが悩み、泥臭く変化していった「主観的なプロセス」そのものが、同じ悩みを持つ誰かにとっての「道標」や「ガードレール」になるのだと気づかされました。
おかげで当日は、自分の主観と体験談だけで構成した、血の通った発表をやり遂げることができました。
まとめ
「成果発表」ではなく「体験の言語化」に挑戦した今回のイベントは、自分自身を見つめ直す最高のきっかけになりました。
私と同じように、自分の言葉で発信するのをためらっている人は多いかもしれません。でも、もう少し気を楽にして、自分にしか語れない言葉を発信してみてください。その勇気が、きっと誰かの「ガードレール」になるはずです。
また、このような発表を会社として受け入れてくれるという雰囲気もCLっぽさがあっていいな〜と感じました。
