ISM AI Valley(#2) 参加レポート

本レポートは ISM AI Valley Vol.02「AI活用ナイト」(2026年5月20日開催)のイベント記録です。当日の録音・写真・登壇スライドをもとに、AIを使って起こし・整理・再構成しました。
📖 レポートの見方
各セッションの概要テキストに続き、当日の写真をギャラリー形式で掲載しています。
📄 スライドについて(Session 1〜3)
Session 1〜3 のスライドは、当日の聴講内容を録音し、それをもとに NotebookLM で再構成したものです。登壇者が実際に使用したスライドとは異なる場合があります。より正確な内容は写真(実際のスライドが映り込んだもの)をご参照ください。
📷 Session 4 について
Session 4(宮川 勲 氏)は、オペレーションミスにより録音ができなかったため、スライドは存在しません。当日撮影した写真に映り込んだスライド内容を読み解き、原稿をある程度再現しています。
Opening — AIValleyとは
旧称「AIラボ」から「AIValley」へ名称を変更し、シリコンValleyのようなムーブメントを起こすことを目指して開催されているAIのオープンコミュニティです。エンジニア、非エンジニア、経営者、初心者など多様な人々が集まり、「繋がりが価値になる時代」において、新たな出会いや価値を生み出す場を作ることを目的としています。
| イベント名 | ISM AI Valley Vol.02「AI活用ナイト」 |
|---|---|
| 日時 | 2026年5月20日(水)18:30〜21:00 |
| 場所 | 渋谷ガーデンホール(渋谷エリア) |
| 定員 | 30名(クローズド招待制) |
タイムテーブル
| 18:30 | 開場 |
|---|---|
| 19:00〜19:05 | オープニング(ISM AI Valleyの紹介) |
| 19:05〜19:45 | Lightning Talk(各5〜10分 × 4名) |
| 19:45〜21:00 | 交流会(ドリンク・軽食あり) |
登壇者
| Session | 登壇者 | 所属 |
|---|---|---|
| 1 | 島 直人 氏 | Datadog Japan / AI活用コンサルタント |
| 2 | 飛松 弦 氏 | 株式会社フツレ CTO兼CEO・情報処理安全確保支援士 |
| 3 | 仲鉢 空翔 氏 | D株式会社 取締役 |
| 4 | 宮川 勲 氏 | 株式会社イズム 代表 |





Session 1 — シングルタスクの人ほどAIと相性が良い
「シングルタスクの人ほどAIと相性が良い」
AIによる課題解決
島氏自身、メモを取りながら人の話を聞くといったマルチタスクが苦手でしたが、AIを活用することでその課題を克服しました。苦手な部分をAIに代替させることで、本来集中すべき対話に注力できるようになったといいます。
「参謀」としてのAIエージェント活用
目の前のタスクを分解し、「自分で仕事はせずAIに任せる」という考え方で業務を進めています。具体的には「Claude Code」を用いてGoogle環境と連携する「参謀」となるAIエージェントを構築し、その配下で複数のAIエージェントを稼働させて自身の右腕として機能させています。
対話への集中と挑戦の低コスト化
AIにタスクを代替させることで、顧客との対話や人にしかできない部分に集中できるようになりました。また、AIによってシステム構築などのコストが下がり、会社員として本業をこなしながら個人事業など新しいことへ挑戦しやすくなったと語っています。
Q&A ハイライト
- エージェントの具体的な構築ツール・環境(Google環境との連携)について共有
- AIを活用する際のセキュリティの考え方:100%の安全はないため、各フェーズでやるべき対策をしっかり行うことが重要
- コミュニティ計画:毎月第3水曜日の定期開催・Discord交流・夏のAI合宿(民泊施設利用)










Session 2 — LLMセキュリティリスク対策
「LLMのセキュリティリスク対策 — 利用者視点で気をつけるべきこと」
OWASPやMITRE、NISTなどの主要なガイドラインを統合し、特に利用者視点で気をつけるべきリスクと対策の全体像を解説。AIを利用する際、これらのリスクは単独ではなく複合的に発生する危険性があります。
利用者が直面する4つのリスク
プロンプトインジェクション(隠し文字や不正ファイルによるAIの誤作動)やハルシネーション(もっともらしい嘘)による被害
プロンプト入力による機密情報の漏洩や、外部サービスへの意図しないデータ送信
AIに過剰な権限を与えてしまい、意図しないメール送信やシステム操作を自律的に行われてしまうリスク
会社で禁止されているAIツールを従業員が隠れて業務利用してしまうこと
利用者が行うべき6つの対策
オプトアウト設定をしていてもデータが保存・外部連携される可能性があるため、入力内容に注意
AIの回答をそのまま利用せず、必ず人間によるファクトチェックを実施。重要な意思決定をAI任せにしない
AIに与える権限は最小限に留め、通常のシステムと同様の厳格な管理を実施
個人情報・機密情報を扱う際はデータマスキングや入力フィルタリングツールを活用
プラグインなど外部連携時はやり取りされるデータの内容を確認してから承認
単にAI利用を禁止するのではなく、組織として「便利かつ安全に使えるAI環境」を提供することが最も効果的
Q&A ハイライト
- オプトアウトの安全性:オプトアウトしていてもRAGによる社内DBへの保存で漏洩するリスクがある
- 議事録ツール(PLAUD NOTEなど):規約の二次利用確認に加え、保存録音へのアクセス権限管理と最終的な人間による内容チェックが不可欠
- ローカルLLMのリスク:PC内で動かすローカルLLMでも、特定思想へ誘導するモデルや実行コードに脆弱性が仕込まれたモデルが出回っているため注意が必要
















Session 3 — AIに自分の脳を接続する
「AIに自分の脳を接続する — 目と耳と手と記憶を与えるエージェント環境」
背景情報の連携によるAIの効率化
AIが思い通りのアウトプットを出さない最大の要因は「背景情報(コンテキスト)の共有不足」です。毎回AIに前提を説明する手間と説明漏れを防ぐため、仲鉢氏はSlack・Gmail・Googleカレンダー・日常の会話録音デバイスなどの情報を「エルメスエージェント」と呼ばれるAIにすべて接続し、日常的に記憶・管理させています。
これにより、作業を行う際に人間が細かく説明しなくても、AIが勝手に会話の意図や背景を理解して作業してくれる環境を構築しています。
自律型AIエージェントの圧倒的な作業事例
社内のAI活用事例をまとめたWebサイトを構築した際、AIに目的(ゴール)だけを指示して就寝。情報収集からサイト構築、デバッグまでが自律的に行われた結果、翌朝には130個の事例と520枚の生成画像を含むサイトが8割方完成していました。睡眠中にAIが主体的に働く次世代の働き方を体現した事例です。
企業のAI導入支援と新たな取り組み
- 上駐型(伴走型)支援サービス:AIのプロが週1〜2日企業に常駐し、現場の業務フローやセキュリティ環境を分析。単なる要望通りに作るのではなく、ROIを試算し真に優先すべき最適なAI実装を支援
- 業界専用AIツールの共同開発:同業他社で集まり業界特有の課題を解決するツールを共同開発。一社あたりの初期コストを抑えつつ外販可能なプロダクトを目指す。具体例としてインサイドセールスの通話ログをCRMへ自動入力・標準化するAIが進行中
Q&A ハイライト
- セキュリティ観点から日常情報を読み込ませるエージェント環境はローカルで稼働
- インサイドセールスAIとCRM(Salesforce・HubSpotなど)の連携は、音声ログさえテキスト化できていれば様々なシステムへの連携が可能













Session 4 — AIで作る。AIに任せる。AIと暮らす。
「AIで作る。AIに任せる。AIと暮らす。」
AI社長(AIかめっち)のライブデモ
前回から継続して開発中の「AI社長」プロジェクトについて、最新成果が披露されました。特定の人物の人物情報・生い立ち・経歴・価値観・話し方ルールなどを学習させ、「誰が話すか」「どう話すか」を3軸で設計することで、その人らしさを再現するAIエージェントです。
今回はDMM会長・亀山慶司氏をモデルにした「AIかめっち」を会場でライブ実演。参加者から「今日も渋谷でAIのイベントをやってます」と話しかけると、AIかめっちは亀山会長のキャラクターそのままに「俺もちょっと触ってみてるけど、これはヤバいなって思うよ。でもイベントとかでワーワー言うより、実際に使ってみた方がいいんじゃない?結局どう使って儲けるかだよね。」と即座に回答。会場を沸かせました。
ダブル公認を獲得
AIかめっちはCoCo壱番屋創業者・宗次徳二氏とDMM会長・亀山慶司氏本人の双方から公認スタンプを取得。本人そっくりのAIアバターとして正式に認められた形となりました。
カンパニーブレイン構想 ─ 常駐型AIスタッフ「ハッチ(HACH)」
現在実施中のプロジェクトとして、「AI Agent を会社・チーム単位で動かすPoC」が紹介されました。「使えば使うほど育つ、会社専属のAIスタッフ」をコンセプトとした常駐型AIスタッフ「ハッチ | HACH」の構想です。個人レベルのAI活用から、組織全体が恩恵を受ける「カンパニーブレイン」へと進化させることを目指しています。
ISM AI Leaders
宮川氏のインタビュー記事「25年コードを書いてきた人間が、コードを書くのをやめた話。」も紹介されました。経営の傍ら節目ごとに自分の手でプロダクトを作ってきた経営者が、"何でもできる時代"に"何をやるか"を選び直した現在地を語っています。






















おわりに
第2回「ISM AI Valley」は、AIをすでに実務の核に組み込んだ実践者たちのリアルな事例と、セキュリティ・エージェント・AIパーソナリティという最前線の議題を一夜で体験できる、密度の高いイベントになりました。
登壇者の言葉を振り返ると、3つのメッセージが浮かび上がります。
- AIは「苦手の克服」ではなく「強みの増幅」に使う。 島氏が示したように、自分の得意領域にAIを重ねることで、本来集中すべき仕事に圧倒的に特化できます。
- セキュリティは「禁止」ではなく「安全な環境の提供」で解く。 飛松氏が強調したシャドーAI対策の核心です。AIを制限するより、組織として安全に使える仕組みを先に整える発想が問われます。
- AIを「個人の秘書」から「会社の脳」へ拡張する。 仲鉢氏・宮川氏の事例に共通するのは、AI活用を個人の枠に留めず、チーム・組織単位で育て蓄積していく視点です。この延長線上に「カンパニーブレイン」という次世代の働き方があります。
AI駆動開発コミュニティとの連携へ
ISM AI Valleyが掲げる「ビジネス × AI実践」の視点は、国内最大規模のAI開発コミュニティ AI駆動開発(AI-Driven Development)(connpass、メンバー約20,500名)とも深く共鳴します。同コミュニティでは Claude Code や Cursor を使ったエンジニアリングのノウハウが蓄積されており、今回の登壇者が示したAIエージェント活用の裏側を支える技術と直結しています。
両コミュニティは互いに補完関係にあります。AI駆動開発が「どう作るか(技術実装)」に強みを持つ一方、ISM AI Valleyは「どう使うか・組織をどう変えるか(ビジネス応用)」に軸足を置いています。この掛け合わせこそが、AIを真に事業の武器にする上で欠かせない視点です。今後はクロス登壇や共同イベントなど、エンジニアと経営・ビジネス層が同じテーブルで議論できる場づくりも視野に入れています。
ISM AI Valleyは今後も毎月第3水曜日に開催予定です。「AIを実務に組み込みたい」「経営者・エンジニアが混ざり合う場で学びたい」と感じた方は、ぜひ次回のイベントへお越しください。参加者同士の継続的な情報交換の場として、Discordコミュニティも常時オープンしています。
AIの波は確実に来ています。技術と経営が融合する場所に、次のイノベーションの芽が育ちます。次回会場でお会いできることを楽しみにしています。
