スクラムマスターでもAIを活用したい!「スクラムマスターのためのAI」コースの紹介と感想

今日は、オンライン講座「スクラムマスターのためのAI」について紹介します。

コースの概要

「スクラムマスターのためのAI(AI for Scrum Masters)」は、Scrum Allianceからマイクロクレデンシャルとして提供されています。

このコースは、スクラムマスター、プロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャー、アジャイルチームのメンバー向けに設計されており、AI をチームに統合することで、より効率的な作業方法を確立させたい方にお勧めです。

AI for Scrum Masters - Scrum Alliance マイクロクレデンシャルコース

動画ベースではなく、テキストでの解説を中心に・プロンプトの例示・内容確認クイズなどで構成されています。4,5時間ぐらいのボリュームです。Udemyなどでもオンライン講座などが提供されているかもしれませんが、以下の点がいいなと思って受講したのでした。

  • Scrum Allianceという大御所の団体が提供している
  • 日本語で提供されている

コース受講前に期待していたこと

私のAIの活用状況は「ChatGPT Plusを有料契約して、ちょくちょく壁打ちや調べ物に使っている。それ以外は、GitHub CopilotやCursorを少し触った」程度です。その状況で、以下の期待値を持ってコースを受講しました。

  • スクラムマスター・アジャイルコーチが関わる範囲で、最低限のAIの要素はキャッチアップしておきたい(この時点ではうまく言語化はできてないけど、開発者の使い方とは違う気がしていた)
  • クリエーションラインとして、AIは重点項目として扱っているので、ノウハウを貯める・広めていきたい

コース受講後の感想

ユースケースから入るので、AIの使い所をイメージしやすい

このコースでは、各AIツールの機能的な詳細を説明したり、いきなりChatGPTのプロンプト例を羅列したりするようなコースではありません。スクラムマスターのユースケース別に使い所が例示されていたので、どういう場面で使えそうかをイメージしやすかったです。例えば、以下のようなユースケース例が挙げられていました。

  • ミーティングのためのAIツール
  • コミュニケーションとコラボレーションのためのAIツール
  • プロダクトバックログ管理のためのAIツール
  • レトロスペクティブのためのAIツール etc

もう少し具体的な例だと、下記のような用途は試してみるのも面白そうと感じました。

  • 議事録や何かしらのインプットをもとに、ユーザーストーリーを作成する
    • スプリントレビューのフィードバックから、新たなストーリーが生まれることはよくあるので、ここをうまくAIでアシストできると楽できそう
    • 合わせて、Gherkin形式だったり何らかのテンプレートを指定しておくと、統一されたフォーマットで見通しがいいストーリーになりそう
    • (とはいえ、ストーリーは会話のきっかけなので、自動生成することに意識が行き過ぎて、会話が疎かにならないように)
  • ユーザーストーリーが、完成の定義を満たしているかを確認する
    • 完成の定義も、別ドキュメントとして言語化されていることも多そう
    • それらを、機械的にチェックするというのは、現場のニーズとしても多い
  • ワーキングアグリーメントのドラフト版を作る
    • よくありそうな要素を先に洗い出してもらって、それをピックアップ & 拡充する使い方
    • あまり時間かけなくてもいいケースを、手軽にやるところから始めるのもよさそう

単に「ChatGPTを使うと、ドキュメント生成や思考の壁打ちが楽になります!」よりも「スクラムのフレームワークでは、このイベントやこの生成物の視点で、AIの力を借りれそう」と考えると、使い所をイメージしやすかったですね。

AIツールの選定基準が明確になった

「AIで生産性を上げたい」とは思うものの、世の中に乱立して進化が激しい"○○AI"を片っ端から試すのは、今の自分の現状では厳しいと感じてます。また、クライアントワークをしていると、クライアント側のツールや環境が前提になっていて、ツール選定に制約がある場合もあります。

そういう状況を踏まえながら、コースを読み進めていくうちに、今の自分のAIツールの選定基準はこんな感じかな、というのが言語化されてきました。

  1. 汎用的なAIツール(ChatGPTなど)を押さえておく
  2. その上で、すでにクライアント先で使っているツール(ZoomやJiraなど)に内蔵しているAIを活用する
    • セキュリティ系の懸念も同じツール使ってれば別のツール使うよりもクリアしやすい
    • 既存のデータやフローと、内蔵AIの親和性が高そう

その前提で、プロジェクト管理ツールに、Issue登録・編集をサポートするようなAI機能がないかを少し調べてみました。上記のユースケースであげた「プロダクトバックログ管理・ユーザーストーリー管理」に役立ちそうなものがないかを想定しながら。

ツール / 機能名できること典型シナリオ
GitLab Duo新規Issueの「Description」欄でGenerate issue descriptionをクリックし、一言概要を入力するとAIが詳細な本文を下書きしてくれる。バグ報告や要望を“ざっくり 1 行”で書き、残りをAIに任せて詳細を生成・修正する
GitHub Copilot ChatGitHub.comのCopilot Chatに“Create me an issue for …” と入力すると、テンプレ付き Issue をプレビュー → そのまま起票。画像を貼るとスクショから再現手順も抽出可能。バグ報告や新機能の要望を自然言語で書き起こす。画像を貼るとスクショから再現手順を抽出。
Atlassian IntelligenceIssue 作成画面で概要を数行書くだけでAIが要約+詳細説明を生成。既存チケットの長文説明やコメントもワンクリックで要約。Slackの議論をそのままチケット化したいとき、あるいはエピックを AI に分割させてストーリーを量産したい場合。

「人手でやればできるけど面倒な作業」をAIに支援して欲しい

AIに対するスタンスも、コースを受講していく中で言語化されてきました。例えば、以下の文はコース中の一文ですが、この文はいいなあと感じました。

私たちは、AIの能力を活用して既存の役割を強化し、チームメンバーがより複雑でクリエイティブな仕事に集中できるようにすることができます。

目標は、人間の意思決定をAIで置き換えることではなく、むしろAIが人間の能力を補完する共生関係を築くことです。

それを受けて、今の自分は「人手でやればできるけど面倒な作業」をAIに支援してもらいたい、そういうユースケースを探しているということに気づきました。

その意味では、データのクリーニングは面倒なところなので、AIがうまく使えるといいなあと考えています。例えば、ベロシティレポートとか、リードタイム算出とか、ちょっとひねったグラフや分析したいときに、ひと手間楽にしてもらえるとうれしい。

「最初は手動でやることも多いけど、慣れたらAIで自動化するのを試してみよう。その結果、自分はクリエイティブな仕事に集中できるようになっていければ」と考えています。


このコースだけでAIを使いこなせるまでにはいかないけど、これからAIの導入や実践していくイメージと、そのために深堀りしたい箇所が分かってきました。

4,5時間程度の受講で10000円前後のお値段。Scrum Alliance会員ならば割引も効きます。取っ掛かりとしてさくっと見てみるのにコスパは悪くないかと思いますので、興味を持った方はぜひ受講してみてください!

余談:受講メモからブログ or スライドを作らせようとしてみたが…

少しずつでもAIツールの素振りをしようとしてて、受講メモからこのブログ記事を作らせようとしてみました。プロンプトは、例えばこんな感じ。

受講メモのファイルから、marpの形式で、適切にまとめたスライドを作ってください。marpは、例えば以下のような構成を取っています。

---
marp: true
---

<!--
theme: azusa3
paginate: true
-->

---

(中略)
各モジュールは、モジュール一つにつき1スライドでまとめたいです。

Marpでは --- の間を1ページとします。なので、モジュールごとに --- で囲んでください。
その際、小見出しなども含めて3~7行ぐらいでないと、一枚のスライドに収まらないので、適切に要約しながら行数をおさえてください

が、結果はイマイチ。フォーマットも想定した通りにならなかったし、要約された文章を読んでみても、何を言っているのか分からないレベルでした…

まあ、こういうのも素振りしてみないと分からないことですしね。「この分野のこういうプロンプトでは、現時点ではあまり効果が得られなかった」という学びになりました。

加えて、(その人特有の)文章を書くというのはクリエイティブな作業とも言えるし、書きたいことをまとめていく中で自分の血肉になるので、ブログを書くのは自分で文章を考える方がよさそうです。少なくとも今の自分にとっては。

Author

大切にしている価値観:「現場で働くチームの役に立ちたい!」
そのために
- エンドユーザーへ価値を届けることを見据えつつ
- その価値を産み出すチームもより活き活きと動けるように
を目指しています!

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