【AI駆動開発まつり】Claude Codeで「手動コーディングゼロ」を実践 #clmeetup #AI駆動開発 #claudecode

はじめに

2025年12月3日、【AI駆動開発まつり】AI駆動開発 の現場テクニックを徹底紹介!(KennEjimaさん招待講演) が開催されました。本稿では『Claude Codeで「手動コーディングゼロ」を実践 〜 AIチャットボット「玄米茶」開発実践から見る、プログラマにとっての生成AIとの付き合い方とは?』のスライドと、その内容を紹介します。

まえがき

本スライドでは、AIチャットボット「玄米茶」の開発事例を基に、生成AI「Claude Code」を導入して「手動コーディングゼロ」を実現する具体的な手法、そのメリットと課題、そしてプログラマにとって生成AIとどのように付き合っていくべきかを探ります。ちなみに筆者は、

を使用しています。

1. AIチャットボット「玄米茶」とは

生成AI連携Slackボット「玄米茶」は、Slack上でメンションするとスレッドで応答するAIチャットボットです。応答にはGPT-4.1を活用し、MCP (Model Context Protocol) を用いて、クリエーションラインTech blogの記事レビューやGoogle Cloudプロジェクト管理など、さまざまな機能を追加・提供できる拡張性の高い仕組みを持っています。

2. 開発手法の変遷と「手動コーディングゼロ」の実践

2024年12月からの約半年間はテキストエディタ vimによる手動開発を行っていました。しかし、2025年7月にClaude Codeを導入してからは「手動コーディングゼロ」を実践しています。

生成されたコードにバグや非効率な記述が見つかっても、プログラマ自身が手動で修正することはせず、AIにその問題点を指摘して修正させています。

3. 高速な試行錯誤を可能にする開発方針

Claude Codeを用いた開発では、「本体コードとテストを具体的な指示で少しずつ生成する」という方針を取っています。

具体的で少しずつであれば、コードの生成速度が上がり、人間による確認・判断のスピードも向上するため、高速で試行錯誤が可能です。AIが生成したコードの品質を担保するには、テストも十分に行うようにします。

指示が曖昧で大規模になると、かえって精度の低いコードが生成され、確認や修正時間がかかり、効率が低下します。

4. Claude Code導入のメリットと得られた効果

最大のメリットは、検索や学習にかかる時間と手間を肩代わりしてくれる点です。「検索するにもコツが必要」なのですが、Claude Codeは適切にキーワードを判断して自動的に検索してくれます。またプログラマが知らないプログラム言語やアルゴリズムコードも生成してくれます。これにより、プログラマは自身の能力が補完・拡張される感覚を得られます。

おおざっぱな指示でもそれなりの成果を出してくれますが、前述した通り、具体的な指示を与えればより高い精度で結果が得られます。

条件を揃えて実施するのが難しいので定量的なデータではなく、定性的な感覚になってしまいますが、「1か月の作業が1週間、1週間の作業が1日に短縮できた」と感じられるほどの生産性向上に繋がっています。

5. 課題1: ノウハウ共有の難しさ

チャット形式で開発を進めるため、「こういうケースでは、こういう指示が最適」といったノウハウが履歴に流れていってしまい、他者への共有が難しいという問題があります。履歴の長期保存や、履歴を辿れるウェブフロントエンドの導入など、現在も試行錯誤が続いています。

6. 課題2: コードの正しさの最終担保

本体コードの正しさをテストで担保しても、そのテストコード自体もAIが生成している場合、最終的なコードの正しさをどう担保するのかが課題となります。目視での確認は現実的ではなく、人間と生成AIの役割のバランスをどう取るかが今後のテーマです。

7. プログラマにとっての生成AIとは?

生成AIは、プログラマの能力を越えるコードを生み出すことがあっても、その採用・不採用の判断は最終的にプログラマの責任となります。そのため生成AIは「そこそこ優秀な、プログラマ自身の写し鏡」と言えるでしょう。

また、生成AIは平気でミスをしたり、通らないテストを削除してなかったことにしたりと平気でインチキをするので、決して天才でも全知全能でもない、人間らしい不完全さを持つ「そこそこ優秀なパートナー」として捉えるべきです。

8. 認知の問題

注意すべきは「認知的オフローディング」の弊害です。生成AIに思考を任せることを「認知的オフローディング」と言いますが、生成AIが出してくるコードに単純に「ダメ」と言うだけで人間が思考することを怠っていると、人間としての認知能力が低下するという研究結果もあります。

これを防ぐために、生成AIが出してくるコードについて、「この処理はわざわざ書き下ろさずに、既存のライブラリが使えないか?」や「その処理よりも、このようにしたほうがより効率がよいのでは?」など、プログラマが主体的に思考し続けることが重要です。

9. まとめとプログラマの役割の変化

コード作成は、「少しずつ」「具体的」に生成AIと対話して行うのが成功の鍵です。生成AIはあくまでパートナーであり、プログラマは思考を任せきりにせず、主体性を持ち続ける必要があります。

生成AIの導入により、プログラマの仕事は「コーディング」が減り、「リーディング」がより重要になってきています。しかし、「読む」能力は「書く」ことによって培われる側面もあり、将来のプログラマはどうなってしまうのかという不安があります。未来に向けて、プログラマは生成AIとうまく付き合っていくことが求められています。

おわりに

クリエーションラインでは引き続きAI駆動開発に関する調査やイベントを開催していきます。次回もご期待ください。

Author

Chef・Docker・Mirantis製品などの技術要素に加えて、会議の進め方・文章の書き方などの業務改善にも取り組んでいます。「Chef活用ガイド」共著のほか、Debian Official Developerもやっています。

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