Neo4j AuraにAI搭載ダッシュボードが新登場 – グラフデータ分析と可視化がより手軽に –

はじめに
2025年6月、Neo4j Auraのコンソールに新たなツール「ダッシュボード」が追加されました。
これまではAuraでデータを分析する際、主にCypherクエリを直接記述して結果を確認していましたが、新機能の追加により、グラフ・表・チャートなどを組み合わせた視覚的な分析ビューを手軽に構築できるようになりました。
さらに、このダッシュボードにはAIによる自動生成機能や、自然言語からのCypherクエリ作成支援が搭載されています。これにより、Cypherの知識がない方でもグラフデータを直感的に分析できる環境が整いました。
この記事では、「Auraダッシュボードって何?」「どう使うの?」「AIで何ができるの?」といった疑問に答えながら、Auraダッシュボードの魅力を解説していきます。
Auraダッシュボードとは?
Neo4j Auraの「ダッシュボード」機能は、グラフデータベースの内容を表・チャート・ネットワークグラフなどの視覚的な形式で構成・共有できる分析ツールです。
Auraコンソールに統合されており、追加のインストールや設定は不要で、Aura内でそのままダッシュボードを作成・管理できます。

ダッシュボードの構成と基本機能
Auraダッシュボードは ページ(タブ) と カード(ウィジェット) で構成されます。
- ページ単位の管理
分析の目的ごとにページを分けられます。

- カードによる多様な可視化
チャート(棒・折れ線・円)、テーブル、グラフビュー、単一数値などのカードを追加できます。

- 共有機能
同一プロジェクト内の他ユーザーにダッシュボードを共有し、閲覧やレビューを可能にします。

目玉機能:AIによるダッシュボードの自動作成
Auraダッシュボードの大きな特徴の一つが、AIによるダッシュボード自動生成機能です。
新規ダッシュボード作成時に「Create with AI(AIで作成する)」を選択すると、自然言語の指示に基づき、AIがデータベース構造を解析し最適な可視化を自動提案します。
利用例プロンプト:「グラフの視覚化のみでダッシュボードを作成して」
結果:グラフビューカードが自動配置



利用前の注意
この機能を使うには、Organization設定で「Generative AI assistance」をオンにする必要があります。

自然言語でのクエリ生成
さらに、各カードの編集時にもAIが活躍します。
「どんなデータを見たいか」を自然言語で入力すると、AIが自動的にCypherクエリを生成してくれます。Cypherに不慣れな方でも、グラフクエリを簡単に扱えるようになります。

NeoDashとAuraダッシュボードの違い
Neo4jには以前から「NeoDash」という可視化ツールも存在します。両者の違いを以下の表にまとめました。
比較項目 | Aura Dashboard | NeoDash |
---|---|---|
提供形態 | Auraコンソールに組み込み(クラウド) | 独立したWebアプリ、自己ホストも可能 |
対応環境 | Neo4j Aura専用 | Neo4j Aura・オンプレミス・Desktopに対応 |
可視化の種類 | グラフ、チャート、テーブル、単一値など | 左記に加え、地図ビューやカスタムアクションも可能 |
フィルタ機能 | パラメータとフィルタカードによる絞り込み | より柔軟なパラメータセレクト・連携機能 |
AI支援 | ◯(AIによる作成、クエリ生成) | △(自然言語からクエリ生成はあり) |
導入のしやすさ | Aura上でそのまま利用可能 | 導入にインストールや設定が必要 |
使い分けの目安
- Auraダッシュボード:Auraユーザーで迅速に可視化・共有を行いたい場合、特にAIを活用したい場合
- NeoDash:高度な可視化や特殊な表示、オンプレ環境との連携が必要な場合
Auraダッシュボードの導入メリット
Auraダッシュボードの導入は、ユーザーに以下のような大きなメリットをもたらします。
- ワークフローの一元化:データベースの管理から可視化まで、Aura内で完結
- 迅速なダッシュボード構築:初期ダッシュボードを数分で自動作成
- 学習コストの低減:AIによるCypher支援で、非エンジニアでも扱いやすい
- チームでの情報共有:プロジェクト内の他ユーザーと安全に共有・連携可能
導入ステップ(簡易版)
- Auraコンソールでデータベースに接続
- 「Dashboards」タブを開く
- Create → 「Create with AI」または「Create from scratch」を選択
- 必要に応じてOrganization設定で「Generative AI assistance」を有効化
まとめ
Neo4j Auraの新機能「ダッシュボード」は、グラフデータベースの可視化・共有をより手軽に実現できます。
特に、AIによるダッシュボードの自動作成や自然言語でのクエリ生成は、データ活用の可能性を大きく広げるでしょう。
ぜひAuraコンソールにログインして、AIを活用した可視化体験を試してみてはいかがでしょうか。
参考
公式ドキュメント - Aura ダッシュボード
Neo4jブログ - Introducing AI-Powered Dashboard Creation in the Aura Console