【CLくんブログ】AI-DLC ワークショップをレポートします!

AI-DLCは注目されているAIネイティブ開発のフレームワーク
本日のテーマは「AI-DLC」です。
最近お客さんからAI-DLCに関するご相談を受けることがありました。AI駆動開発を推進するクリエーションラインとしても新たな一つのフレームワークとして注目しています。
ちょうど3月3日に開催された弊社内部イベントのEngineer All Hands 2026でも「AI-DLCわいわい会」というワークショップが開催されましたのでレポートしたいと思います。
(今回は初級編として仕様駆動開発をAI-DLCを通じて体験する内容となっています。)
わいわい会の様子をレポートしながら、AI-DLCの概要、話題に上がった ADR(Architectural Decision Record) についてもご紹介します。
わいわい会の様子


アジェンダ
- AI-DLCとは? :10分
- グループ決め : 5分 (3人1組)
- 環境準備 :10分
- AI-DLC実践 :55分
- 成果共有 :10分 (バザール形式)
そもそもAI-DLCとは
AI-DLCは、AWSが提示する AI前提のソフトウェア開発ライフサイクルです。要件・設計・実装・テスト・運用といった流れを、生成AI/エージェント活用を織り込む形で組み替え、スピードと品質を両立しやすい状態を作ることを目的にしている方法論です。
英文ですがAWS Labさんが定義しているAI-DLCの説明は以下より確認してみてください。
出典:AWS AI DLC https://prod.d13rzhkk8cj2z0.amplifyapp.com/
#原文が英文なのでNotebookLMにてスライドにしてみました。
AI-DLC体験のアウトプット
準備が終わると作りたいアプリの要件をAIの質問に答える形で作っていきました。一つのチームの内容をサンプルにお伝えします。

作成例:賃貸物件検索Webアプリケーション
AIからの質問に答えてくことでシステムの要件がINTENT(意図)の形にまとめてくれます。実際の出力結果として以下が出力されましたのでグループでレビューしました。AI-DLC用語ではモブ・エラボレーション (Mob Elaboration=モブで詳しく見ていく)とのことです。
INTENTをレビュー
# INT-000 Intent — 賃貸物件検索Webアプリケーション
## Purpose
- ユーザー(借り手)が自身の希望条件に合う賃貸物件を効率的に検索・比較し、最適な物件を見つけられるWebアプリケーションを提供する
## Success Criteria
- ユーザーが複数の検索条件(エリア/路線、家賃、間取り、築年数、駅徒歩分数、ペット可否、設備)を組み合わせて物件を絞り込める
- 検索結果が一覧表示され、物件の詳細情報を確認できる
- レスポンシブデザインにより、PC・スマートフォンの両方で快適に操作できる
## Scope
- Target:
- 賃貸物件の検索・絞り込み機能
- 物件一覧表示・詳細表示機能
- 検索条件の保存・再利用(お気に入り条件)
- 物件のお気に入り登録
- レスポンシブ対応のモダンUI
- Out of scope:
- 物件の掲載・管理機能(不動産会社/オーナー向け管理画面)
- ユーザー認証・アカウント管理(初期スコープ外)
- 決済・契約機能
- チャット・メッセージング機能
- 物件データの自動取得(スクレイピング等)
## Technology Stack
- フレームワーク: Next.js(App Router)
- 言語: TypeScript
- プロジェクト種別: Greenfield(新規開発)
INTENTをOKすると実装が始まります。その後数分待つとアプリ画面が出力されました
アウトプット

UNITと呼ばれる機能一覧もレビューします。
# Bolt: bolt-001 — プロジェクト基盤・検索・一覧表示
## 0. Bolt Purpose
- Target Intent: INT-000(賃貸物件検索Webアプリケーション)
- Target Unit: INT-000_UNIT-001(賃貸物件検索・閲覧基盤)
- Target User Stories: US-001(条件指定検索)、US-002(一覧表示・ソート)
- Goal (Definition of Done): Next.js プロジェクトが動作し、モックデータに対して検索条件の入力・フィルタリング・一覧表示・ソート・ページネーションが機能する
## 1. Scope
### In Scope
- Next.js (App Router) + TypeScript プロジェクトセットアップ
- ドメインモデルの型定義(Property, SearchCriteria, etc.)
- モックデータ(JSON 形式の物件データ 30件程度)
- PropertyRepository インターフェースと MockPropertyRepository 実装
- 検索フォーム(エリア、家賃、間取り、築年数、駅徒歩、ペット可否、設備、管理費込み/別)
- 物件一覧表示(PropertyCard による一覧)
- ソート機能(家賃安い/高い順、築年数新しい順、駅徒歩近い順)
- ページネーション(1ページ20件)
- レスポンシブデザイン対応
### Out of Scope
- 物件詳細ページ(bolt-002)
- 画像スライダー、地図表示(bolt-002)
- お気に入り機能(bolt-003)
- 検索条件保存機能(bolt-003)
## 2. Dependencies & Prerequisites
- Dependencies (other Units/external/data): なし(モックデータで自己完結)
- Prerequisites (environment/permissions/tools): Node.js 18+, npm/yarn
- Constraints: なし(Greenfield)
## 3. Design Diff
- Which design to update: なし(Inception の設計をそのまま初期実装)
- Changes to I/O/API/data model: なし
- Error/retry/idempotency handling: 検索結果0件時のフォールバックメッセージ表示
- Observation points: なし(初期スコープ)
## 4. Implementation & Tests
- Target paths:
- `types/index.ts` — ドメインモデル型定義
- `data/mock-properties.json` — モックデータ
- `repositories/PropertyRepository.ts` — インターフェース
- `repositories/MockPropertyRepository.ts` — モック実装
- `hooks/usePropertySearch.ts` — 検索ロジック
- `hooks/usePagination.ts` — ページネーション
- `components/search/SearchForm.tsx` — 検索フォーム
- `components/property/PropertyList.tsx` — 物件一覧
- `components/property/PropertyCard.tsx` — 物件カード
- `components/common/Pagination.tsx` — ページネーション
- `components/common/SortSelector.tsx` — ソート選択
- `app/page.tsx` — トップページ
- `app/layout.tsx` — レイアウト
- Unit test viewpoints:
- MockPropertyRepository: 各検索条件でのフィルタリング正確性
- 複数条件のAND検索が正しく動作すること
- 管理費込み/別の切り替えが正しくフィルタリングに反映されること
- ソート結果の順序が正しいこと
- ページネーションのオフセット・件数計算が正しいこと
- 検索結果0件時のハンドリング
## 5. Deployment Units
- Affected deployment units: Next.js アプリケーション(新規)
- Deployment procedures/notes: `npm run build && npm run start` で動作確認
- Rollback: 初回構築のため該当なし
## 6. Approval Gate
- [ ] Scope is agreed upon
- [ ] Design diff is appropriate
- [ ] Test viewpoints are appropriate
- [ ] Deployment/rollback is appropriate
Approver:
Approval Date:
## Outcome
- What was completed:
- What could not be completed:
- Changed design/assumptions:
## Open Issues
- Unresolved items:
- Blockers:
- Pending decisions:
## Next Bolt
- What to do next: bolt-002(物件詳細ページ、画像スライダー、地図表示)
- Required input for next: bolt-001 の Property 型とリポジトリ層
- Risks: なし
余談:要件定義での判断根拠がADRとして生成される
少し余談ですが、AI駆動開発のプロジェクトでよく話題に上がるのは、継続開発におけるAI活用のベストプラクティスです。0→1開発ではコンテキストを新たに作りますが、継続開発では過去の経緯などの判断根拠が見えないことが課題になります。AI活用が進むほどAIのパフォーマンスを引き出す前提となるこの 「コンテキスト管理」が重要となっています。
AI-DLCのプロセスで要件定義を進めると、なぜこの判断になったかの履歴が残ります。
ADR(Architectural Decision Record)
AI-DLC文脈でこのコンテキスト管理の一つである判断根拠を管理する方法としてADRが位置づけられています。ADRは単なる設計メモではなく、「AIが参照できる形で、チームの判断基準を固定する」 役割を持ちます。アーキテクチャや設計上の意思決定について、
- 背景(Context)
- 選択肢(Options)
- 決定(Decision)
- 影響(Consequences)
を記録するドキュメントです。つまりADRは、
- AIが提案を作るための“前提データ” であり
- 人間がレビュー/承認で照合するための“基準点” であり
- 将来の変更時に“なぜそうしたか”を復元する証跡 となります
このプロセスが回ると、" AIを使うほど“チームの知識が蓄積して次が楽になる” 状態を作れる期待がわきます。
わいわい会の内容から逸れましたが、AIと一緒に作ることで、人間だけのプロジェクトでは流れがちな、判断根拠=コンテキストもAI-DLCに沿って残していくというのは、現実のシステム開発にとってとても重要な内容だと感じました。
クリエーションラインのAI-DLCワークショップ支援について
クリエーションラインでは、AI-DLCを「知っている」で終わらせず、現場に適用して成果につなげるためのワークショップ支援も実施しています。
たとえば、以下のようなテーマで伴走が可能です。
- AI-DLCの体験&全体像キャッチアップ
- 自社開発プロセスへの当てはめ
- ADRの導入・テンプレート整備・運用設計
- レビュー観点・品質ゲート・運用フローの設計
「AI活用を進めたいが、属人化や品質が不安」「チームとして再現性を担保したい」といった課題がある場合、まずは小さく試し、成功パターンを型化して広げる進め方が現実的です。
おわりに
AI-DLCわいわい会は、最新のフレームワークを学ぶ場であると同時に、**AIネイティブ開発に向けて“チームの判断をどう資産化するか”**を考えるきっかけになりました。
2026年に入り組織としてAI駆動開発に組み込むなら、鍵になるのはADRをはじめとするコンテキスト管理の仕組みづくりがポイントとなります。ここが整うと、チームの一貫性を保ちながら価値を生み出すプロセスが回っていくでしょう。
もしAI-DLCの導入や、ADR運用の立ち上げを具体的に検討されている方は、クリエーションラインのワークショップ支援もぜひご活用ください!
