きのこカンファレンス2026参加レポート

こんにちは!Agile CoE 改め 4月からSherpa Forceというチームにお引越ししたいづいづこと伊藤いづみです!Sherpa Forceが何者なのかについては別ブログを書きたいと思います。
さて、2026年6月28日、東京・日本科学未来館で開催されたきのこカンファレンス2026に参加・登壇したので参加レポートを書きたいと思います。
この記事では、なぜ登壇しようと思ったか、何を伝えたかったか、そして発表しきれなかったことも含めて振り返ります。
きのこカンファレンスとは
6月28日に開催されたきのこカンファレンス2026は、正式名称を「エンジニアがこの先生きのこるためのカンファレンス2026」1といいます。変化の激しいIT業界で、エンジニアが長く活躍するためのヒントを共有することをテーマにしています。第2回目となる2026年のテーマは「FUTURE ~いまから、ここから~」。AIやクラウドネイティブ、リモートワークなど環境が大きく変わる中で、ITエンジニアがそれぞれのキャリアやロードマップを見つめ直し、自身の未来を描くヒントを得ることを目的に開催されるカンファレンスです。
今回ありがたいことにプロポーザルが採択され、登壇の機会をいただきました。
登壇のきっかけ
得意なことがない人、ここだけは誰にも負けないという強みがない人っているじゃないですか。私なんですけど。若いうちは「まだ若いから」で許容されるのかもしれませんが年齢やキャリアを重ねるにつれてそれは焦りや不安へと変わっていきます。何か得意なことを見つけなきゃと試行錯誤した時期もありましたが、そういった時期を経て今は「得意なことがないけどちゃんとチームの役に立つ人」を目指そうと考えが変わりました。それがオシム監督が表現した「水を運ぶ人」でした。
「得意なことがないけどちゃんと役に立つ人」について言語化すれば、自分や自分のような人の生き残り戦略にできるのでは」と思い立ち、プロポーザルの締切5時間前にえいっと提出したのが今回の登壇の始まりです。
発表で伝えたかったこと
発表タイトルは 水を運ぶ人としてのリーダーシップ です。
「水を運ぶ人」はもともと、サッカー日本代表監督を務めたオシム監督が、派手なゴールを決めるわけではないけれど裏側で献身的にチームのために走り回り、ボールをつなぎ続ける選手への称賛として使いました。
ちなみに私はサッカーがよくわからない人間で、この言葉をきっかけにオシム監督の存在を知ったくらいです。ただこの「水を運ぶ人」という言葉が好きでこういう人になりたいと思っていました。そういえばブログのプロフィールにもこの言葉を書いてましたね。
発表では、この「水を運ぶ人」というコンセプトをエンジニア業界に置き換えて考えました。
専門性の高い業界における"水を運ぶ人"
フロントエンドエンジニア、バックエンドエンジニア、インフラエンジニア ——私たちが働く業界は、専門性が高くラベリング文化が強い世界です。得意分野が明確な人には仕事がきちんと割り振られます。
一方で、ラベリングされていない仕事——調整、橋渡し、誰も気づいていないけど誰かがやらないと回らない仕事——はスキマに落ちやすい。専門性が高い業界ほどこの傾向は強くなります。
そこに水を運ぶ人の出番があります。つまり水を運ぶ人はゴールを達成するための裏方のリーダシップと読み替えることができます。自分が得意領域で勝負するのではなく、得意な人が得意なことに集中できる環境を作る。自分がなんでも解決するのではなく、必要な人へつなぐことで解決に導く。自分が前に出るのではなく、チームや組織全体が前進できるような場を作るなどがそうです。
チームのバランサーとして活躍する存在
また、強いチームというのは人の優秀さではなく、チーム内の役割のバランスで決まると言われています。ベルビン・チームロール理論で定義されている9つのチームロールの中には、「チームワーカー」というロールがあります。チームの潤滑油のような存在で、メンバーが互いに理解し合えるようサポートする人。水を運ぶ人は、まさにこのバランサーです。
得意領域で活躍する人が専門領域に集中するほど、隙間は必ず生まれるものです。その隙間を見つけて走り回って埋める人がいることで、チームは本来の力を発揮できます。
水を運ぶ人として成長するために
加えて発表では水を運ぶ人として成長するための4つのTipsを紹介しました。ここで一つだけ紹介すると「地味で小さな仕事だとしても誠実に取り組むこと」です。裏方の仕事は地味な仕事が続くこともあります。楽しい仕事ばかりではないかもしれません。ただ私は得意という武器で勝負できない分、オールラウンダーの心を持ち、どの仕事に対しても自分なりのベストを尽くそうと思っています。誠実に一生懸命仕事をしていれば必ず信頼関係の向上につながります。そしてその信頼が次の依頼の呼び水となり、自分の守備範囲が少しずつ広がっていきます。残り3つは資料をご覧ください!
発表しきれなかった補足
発表後、「結局それって(得意なことがないのではなく)水を運ぶのが得意ということでは?」というコメントを見つけました。
まさにその一文を発表資料の最後に入れようとも思っていたのですが、直前で削除しました。
私は自分が水を運ぶことが「得意」な人間だとは思っていません。得意というのは、ある分野で秀でている自覚があるかどうかが一つの判断ポイントになると思うのですが、自分にはまだそこまでの確信がありません。水を運ぶのが得意な人になりたいとは思っているけれど、まだその域には達していないと思っています。なので「水を運ぶのが得意な人による発表」ではなく「ここを上手になりたいと思っている人の話」として聞いていただければと思っています。
発表に対する反応
「主役じゃない方のリーダーシップという表現が良い」という反応や「得意なことがないのに不安になるのがわかる」「これが得意です!って言えることがないのでとても共感しました」という共感のコメントがありました。
また、たまたまFIFAワールドカップ開催中の登壇だったこともあり、オシム監督やマケレレのサッカーネタが会場に馴染みやすかったのも良かったみたいです。ここは偶然なんですが!
スポンサー特別賞をいただきました
そして嬉しいことに、株式会社コラボスタイル様よりスポンサー特別賞をいただきました。
受賞理由は「『水を運ぶ』=『縁の下の力持ち』とも言える存在の人に、ロールを定義し、その価値を明確にするための考え方が当社が大切にしていることとも親和性があり、個性も感じ共感がもてました」とのことでした。また懇親会でコラボスタイル様の方々と直接お話させていただいたのですが「社員みんなに聞かせたい話」とおっしゃっていただきました。
自分の経験を言語化した発表がこうして誰かに届くことがまさに水を運んでいることだと思い、この発表をして本当に良かったと思いました。
副賞(MESI賞)としてShizen Flow という目覚まし時計をいただきました。こういう自分ではなかなか買わないけどあったら嬉しいものを選べる人のセンスが羨ましいです、ありがとうございます!
おわりに
生き残るということは生存戦略を考えて実践するということです。そして生存戦略を考えるにあたって一番大切なのは「自分自身がどういう人であるかを知ること」だと思います。今回の登壇を通じて自分がどういう人間で、どういうフィールドでなら生き残っていけそうなのかが見えてきたことが大きな収穫でした。
誰かになろうとすることの前にまず自分がどういう人であるかを知る。もし得意という武器をもっていないなら隙間を埋める裏側の人としてプロになる。これも一つの生存戦略だと私は考えています。
というわけでキャリアや年齢の割に得意なことがないと感じている人がいれば、それを欠点と考えるのではなく、チームに水を運ぶ役割を目指してみるのはどうでしょうか。
最後になりましたが、台風接近で見通しが立たない中でも臨機応変に対応いただき、素晴らしいカンファレンスを開催してくださったスタッフの皆さんに感謝です!ありがとうございました。
- 名前はネットミームの「この先生、きのこる(=この先、生き残る)」に由来。 ↩︎
