プロダクトバックログ管理のスキルを、自分のペースで学んでみよう ~ Self-Paced PSPBM Skillsコースの紹介 ~

最近の流行りでしょうか。講師が付く従来型の研修コースではなく、自分の好きなペースで学べるオンラインコースが増えて来ています。以前は「スクラムマスターのためのAI」コースを紹介しましたが、今回はScrum.orgから提供されている「Self-Paced PSPBM Skillsコース」を紹介します。
コースの概要
正式名称「Self-Paced Professional Scrum Product Backlog Management Skills™ Course」は、Product Backlog Managementの名の通り、プロダクトバックログ管理に関するスキルを扱うコースです。2025年5月に公開されたこのコースの概要は、以下の通りです。
- 時間:5時間程度
- 言語:英語(ブラウザ上での機械翻訳で十分に理解可能)
- 料金:$299(認定試験の受験料$200が一回分含まれている)1
- 対象者:
- プロダクトバックログ管理のスキルを身に付けたい、プロダクトオーナー・プロダクトマネージャー・ビジネスアナリスト
- または、彼ら彼女らのコーチを行うスクラムマスター・アジャイルコーチなど
- 成果:
- プロダクトバックログの作成、改良、整理するための実用的なテクニックを実装できるようになる
- ステークホルダーと、プロダクトバックログを軸に効果的にコミュニケーションを取れるようになる
- AIを活用して、プロダクトバックログ管理を支援する方法を理解する
- 形式:
- テキストでの解説のほか、インタラクティブな演習や、確認テストなど
こんな人にオススメ
- バックログ管理のスキルを学ぶと同時に、スキルを証明する認定資格を取得したい人
Scrum.orgの試験は、講師による研修を受けずとも試験を受講できます。ただし、合格点が85%以上で難易度はやや高く、また研修がないとどこから学習していいか分からない人も一定数いるでしょう。
そういうときに、このSelf-Paced PSPBM Skillsコースはピッタリです。上述したように、認定資格の受験料込みで$299となっています。研修を受けると数十万円かかるところを、学習リソースも込みで数万円程度で抑えられるというのは、費用感としてはありがたいお値段ではないでしょうか。
(なお、認定資格に興味がなく、シンプルに学習だけしたいという方にとっては、抱き合わせの分少しお高いと感じるかもです。その場合は、他のオンラインコースの方が適切かもしれません)
受講後の感想
自分の学びは、大きく2点ですね。
- ステークホルダーとの関わり方のコミュニケーションやマインド
- 今までは、「ステークホルダーは、POの考えを尊重しましょう」って話してて
- それも踏まえつつも、ちゃんとステークホルダーとのコラボレーションを重視することもより重要だよねってのが、第三者視点の演習などを通じて体験できた
- 与えられた教材リソースをもとに、今の現場でどうするかなどをシミュレーション
- バックログ管理のあれこれを学びつつ、現実のプロジェクトを見たときに理想の状態にもっていくには?みたいな視点を改めて考えるきっかけになった
- ちょっと面白いなって思ったのは、ステークホルダーマッピングや狩野モデルなどを、演習ベースで体験できたことによって、現場で適用するときのシミュレーションができた
自分はある程度分かった上での受講だったのですが、まだプロダクトオーナーの仕事がよく分からなかったり、バックログ管理の基本がおぼつかない・ちゃんと基本から学び直したい人にとっても、より一層オススメできます。
このコースとAIの関連性
やはり、今はAIとの関連を切っても切り離せないですよね。以下の二つの軸から、取り上げてみます。

プロダクトバックログ管理とAIを用いた開発
もともと、このコースの受講理由に、以下のモチベーションを持っていました。
- 「どう作るか」の開発領域は、AIの支援で効率的になってきている
- とすると、今後「何を・なぜ作るか」の領域がボトルネックになっていきそうで、そこを突き詰める活動をしていきたい
- その一環として、効果的・効率的なバックログ管理を学びたい
このコースだけで完璧に理解・実践できるわけではないですが、一つの参考にはできそうな感触は得られました。
プロダクトバックログ管理をAIで支援
開発・コーディングのところだけにAIを使うのではなく、バックログ管理自体にもAIを活用できますよね。このコースでも、「ボーナスモジュール:AIの活用」が最後に用意されています。
- プロダクトビジョンから、プロダクトゴールの作成
- プロダクトゴールから、プロダクトバックログアイテムの作成
- プロダクトバックログアイテムの並び替え
- プロダクトバックログアイテムの分割
の各状況に応じて、サンプルデータと一緒にサンプルプロンプトが与えられて、試すことができます。試してみての感触は、2つの視点がありそうと感じました。
- スクラムマスター・アジャイルコーチとしての自分が使う場合
- 最初のたたき台として考えて、必要に応じてブラッシュアップするのがよさそう
- 「熟練の人間だと自分でできるんだけど、めんどくさい作業をAIが代替する」ぐらいがいいのではと思ってるので
- スクラムマスター・アジャイルコーチがいないチームで使う場合
- お手軽に使えるので、積極的に使ってもいいのでは
- もちろん100点は取れないけど、熟練者がいなくても6,70点は取れるし、コスパはよさそう
- 特に、「プロダクトバックログアイテムの分割」はよく出てくる内容ですし、このやり方をおさえておくだけでも
約5時間で一通り目を通せるし、おまけで認定資格も取得できる。一石二鳥なPSPBM Skillsコースに興味が出たら、ぜひ皆さんも受講してみてください!