AI駆動開発 – ツール比較

CL君ブログ:AI駆動開発って何?シリーズ

こんにちは。CLくん@ビジネスチームです。

最近、AI駆動開発に関するニュースを多く目にするようになりました。先進的なSaaS企業だけでなく、エンタープライズ企業やSIerも取り組みを加速しています。バイブコーディングという言葉も出てきて、人間とAIによる開発スタイルが注目を集めています。

AIツールに目を向けると、Github Copilotに始まりエージェント型やIDE統合型など様々なツールが出てきており、キャッチアップするのが一苦労な状況です。クリエーションラインのお客様からもどのツールがおススメですか、という質問を多くいただきます。

そこで今回はAI駆動開発を支えるツールについて2025年4月時点での状況を纏めたいと思います。特に組織として利用していく上で確認したいポイントを中心に見ていきます。

今回は、CLメンバーが良く使っている5つのAIツールを比較して見ていきたいと思います。(Tabnineはまだ使えていないですが調べてみましたので記載します)

対象ツール

  • Github Copilot
  • Cursor
  • Windsurf
  • Devin
  • Tabnine

比較観点

  • サマリ
  • 企業概要(設立年、経営者、拠点)
  • 導入状況(顧客数、ユーザー数)
  • 金額モデル
  • 機能&特徴
  • セキュリティ&ガバナンス

本記事の対象は

  • 各社のAIツールの概要を知りたい方
  • 組織としてAIツール導入を企画している方

を想定しており、開発エンジニアの方向けの具体的なツールの使い方については別記事にて紹介します。

Github Copilot

GitHubとOpenAIが共同開発したAIコーディングアシスタントです。Visual Studio CodeやVisual Studio、JetBrains IDE、Neovimなど主要なエディタに対応し、プログラマーのコーディング作業をリアルタイムで支援します。

  • 企業概要
    • GitHubは2008年設立、Microsoft傘下
    • 日本法人「ギットハブ・ジャパン合同会社」は東京港区に拠点あり
  • 導入状況 (2024年時点)
    • 有料ユーザーは約180万人、企業利用は7万7,000社以上
    • 日本でもNTTデータでは約2,000ユーザーが70以上のプロジェクトで利用中
  • 課金モデル
    • Copilot Business:月額19ドル/ユーザー(組織向け)
    • Copilot Enterprise:月額39ドル/ユーザー(大企業向け)
      • EnterpriseプランはBusinessプランの機能に加え、組織ナレッジベース連携、カスタマイズ可能なAIモデル、専任サポートなどが付く
      • Copilot Enterprise利用にはGitHub Enterprise(月額約21ドル)契約も必要で、合計で月額約60ドル/ユーザーになります
  • 機能と特徴
    • 高度なコード補完が特徴で、コードの文脈や変数の型、APIドキュメントなどを理解し、次に書くべき最適なコードや関数全体、複雑なアルゴリズムまで自動で提案してくれます
    • コメントや自然言語で要件を書くと、それに沿ったコードやテストケース、リファクタリング済みコードを自動生成します
    • Chat機能により、コードの説明、バグ修正、リファクタリング、ドキュメント作成などをチャット形式でAIに依頼が可能です
    • 拡張性としては、GitHub Copilot Extensions(GitHub AppsやVS Code拡張)があり、APIを使ったカスタマイズも可能です
  • セキュリティ&ガバナンス機能
    • アクセス制御:SAML /OIDC、RBAC
    • ログ管理:Copilot Business監査ログ(180日間保持)、イベントタイプ別検索可能
    • ポリシー管理:公開コード一致候補ブロック機能、拡張機能利用ポリシー設定
    • コンプライアンス:SOC 2 Type 1認証

Githubを利用してる企業やセキュリティやガバナンス機能を重視する企業に最も安心感のある選択肢になります。

Cursor

日本でも急速に普及しているIDE統合型のAIアシスタントツールです。複雑なコードベースや多様な業務ロジックにも柔軟に対応しており、レガシーシステムの刷新プロジェクトなどにも向いています。

  • 企業概要
    • 2022年MIT在学中のMichael TruellらによってAnysphere社として設立
    • サンフランシスコに拠点
    • 企業価値90億ドルに達しAIスタートアップとして注目されている(2025年3月時点)
  • 導入状況
    • 有料ユーザー36万人(2025年3月時点)
    • 日本でもカカクコム社が全社導入を発表(2025年4月)
  • 課金モデル
    • Pro:月額20ドル/ユーザー(プレミア有無モデル500回/月)
    • Business:月額40ドル/ユーザー(SAML, SSO, 管理ダッシュボード)
    • Enterprise:カスタムモデル(プライベートモデルのデプロイ)
  • 機能概要
    • 予測型コード補完(Cursor Tab)
      • 開発者の操作パターンを学習し、複数ファイルに跨る変更をリアルタイム提案。タブキー押下で平均3.2行のコードを自動生成してくれます
    • 自律的エージェントモード
      • CLI操作からテストケース生成まで、開発ライフサイクル全体を自動化。大規模リファクタリングでは従来比74%の時間短縮を実現します
    • 自然言語インターフェース
      • 「認証機能をOAuth2.0に更新」などの指示で、関連する5-7ファイルを同時修正。日本語を含む14言語に対応しています
  • セキュリティ&ガバナンス
    • アクセス制御:SAML 2.0/OIDC
    • ログ管理:(情報なし)
    • ポリシー管理:プライバシーモード強制設定、モデル選択制限
    • コンプライアンス:SOC2-TypeⅡ、AES-256暗号化

エンジニアチームと会話すると、提案してくれるコードの正確性やレスポンスで最も使いやすいと評判です。クリエーションラインでの利用率も多く、お客様から多くの導入相談を頂くツールとなります。

Windsurf

AI駆動型開発のパラダイムシフトを牽引するAIツール。AI Flows(AIフロー)という開発者とAIが連携して作業を進めるための仕組みで開発者とのシームレスな連携を目指しています。継続的な文脈を認識することでAIと開発者のシームレスな連携を実現しており、Cursorに迫る勢いで成長中です。OpenAIによる買収も発表されました。(URL)

  • 企業概要
    • CEOのVarun Mohan氏はMIT出身
    • 2024年8月にCodeium社へ事業統合、11月に正式版をリリース
    • 2025年5月にOpenAIが買収を発表 (詳細は未発表)
  • 導入状況
    • 2025年4月時点で1,000社以上のエンタープライズ顧客を獲得
    • 100万人のアクティブユーザー数(AI駆動カンファレンスでの公開情報)
  • 課金モデル
    • Teams:月額30ドル/ユーザー(200ユーザーまで)
    • Enterprise:月額60ドル/ユーザー(SSO、管理者ダッシュボード等)
  • 機能概要
    • AIアシスタント機能 (Cascade)
      • Writeモード:「React+TypeScriptでTodoアプリを作成し、認証機能を付けて」といった大規模な要望にも対応し、複数ファイルにまたがるコードを自動生成します
      • Chatモード:「この変数がundefinedになる原因を直して」といったピンポイントの修正やバグ対応を自然言語で指示できます
    • 意図を予測するコード補完 (Supercomplete)
      • 従来のコード補完機能を超え、開発者の意図を予測して適切なコードスニペットを提案します。例えば、Python関数の生成時には、適切なdocstringや機能を自動で付加します
    • メモリー機能とAIルールのカスタマイズ
      • ユーザーの操作履歴やプロジェクトの文脈を記憶し、継続的な作業の一貫性を保ちます。また、特定のフレームワークやAPIの使用、応答言語などのカスタムルールを設定可能です
  • セキュリティ&ガバナンス
    • アクセス制御:RBAC(4階層権限制御)、サブスクリプションベースACL
    • 監査ログ:(Enterpriseプランで個別相談)
    • ポリシーエンジン:ライセンス違反コード自動ブロック
    • コンプライアンス:SOC2-TypeⅡ、FedRAMP High認証

5月にリリースされたWave8のバージョンでは、管理者向けのアナリティクスの機能やレビューの機能が実装されており、機能がどんどん拡張しています。来日したWindsurfの幹部メンバーもエンタープライズ向けに注力することを明言しており導入サポート体制も整備されているようです。AI Flowsのコンセプトやサポート体制の充実している点で、バイブコーディング時代の代表的なツールの一つになりそうな勢いです。

Devin

Cognition社 (Cognition Labs) が開発した世界初の自律型AIツールです。単なるコード生成支援ツールを超え、バグ修正/ コード最適化/ テストコード作成 / GitHubリポジトリ管理 / 既存コードの解析や移行など、多様なソフトウェア開発業務をカバーします。DevinにはSlackからタスクを依頼する形となり、自律的にタスクを実行するAIエージェントの世界観を現時点で最も実現しているツールです。(開発者の方はDevinとIDE型のGithub CopilotやCursorの両方を使う形になります)

  • 企業概要
    • 2023年11月にScott Wu、Walden Yan、Steven Haoによって設立
    • 創設者全員が国際情報学オリンピード(IOI)の金メダリスト
    • 本社拠点はサンフランシスコ
  • 導入状況
    • 企業顧客数 1,000社以上
    • Cognition社自体の開発のPRの1/4がDevinが実行、2025年末には50%
  • 課金モデル
    • Core:従量課金 (最低限 20ドル, 2.25ドル/ACU)
    • Teams:月額500ドル(250ACU含む、追加は2ドル/ACU)
    • Enterprise:カスタムモデル(VPC、SAML/OIDC SSO等)

   ※ACUはAgent Compute Unitの略でDevinが利用したリソース量の単位

  • 機能
    • 長期的な推論と計画立案能力
      • Devinは与えられたタスクを自動的に細分化し、数千にも及ぶ意思決定を自律的に行いながら、最適な手順を計画・実行してくれます
    • 統合開発環境の仮想化
      • 独自のコマンドライン、コードエディタ、ウェブブラウザを持つサンドボックス環境内で、必要な情報収集や実装、テスト、デバッグ、デプロイまでを人間エンジニアと同じように進めます
    • 外部リソースの自動参照と学習
      • 必要に応じてオンラインドキュメントやAPIリファレンスを自動で検索・参照し、未知の技術やフレームワークにも自力で対応します
    • マルチエージェント運用&並列処理
      • 複数のAIエージェントが協調し、大規模プロジェクトや複雑なタスクを分担して処理できる仕組みも備えています
  • セキュリティ&ガバナンス
    • アクセス制御:SAML/OIDC連携+IP制限リスト、RBAC
    • 監査ログ:契約期間中(ログイン、メンバー追加等のみ)
    • 管理:Knowledge機能によりルールをコード化(YAML)
      • ポリシーコードスタイルガイド
      • セキュリティポリシー(例:OWASP Top 10対応)
      • ライセンス管理ルール
      • インフラ構成ポリシー

打合せの間にSlackでDevinにタスクを依頼するような使い方になり、開発者体験の観点から大きなインパクトがあります。CEOのScott Wuさんも来日して日本のユーザーの声を拾うなど、企業としての姿勢にも好感が持てます。Devinの方向性が今後の開発スタイルに大きく影響を与える点で、引き続き大注目のツールです。

Tabnine

2013年に設立されたイスラエル発のAIコード補完ツールです。厳格なセキュリティ認証やオンプレミスやVPC展開が可能で、特に規制業界での採用が増加中となります。エンタープライズ向け機能の拡充に注力しており、大規模組織におけるコード開発プロセスの標準化と効率化を実現するツールとしての地位を確立しつつあります。

  • 企業概要(設立年、経営者、拠点)
    • 2013年、Dror WeissとEran Yahav教授により「Codota」として創業
    • 2019年にカナダのTabnineを買収し現社名に変更
    • 本社はテルアビブに置き、サンフランシスコに北米拠点を展開
  • 導入状況(顧客数、ユーザー数、拡張性)
    • ユーザー数100万人以上(北米とヨーロッパ市場で採用多い)
  • 課金モデル
    • Pro:月額$12/ユーザー(高度な補完機能と優先サポート)
    • Enterprise:月額$39/ユーザー(カスタムモデル構築と専用サポート)
  • 機能
    • 独自LLM&カスタムAIモデルの利用
      • 独自に開発・訓練された単一のLLMを主軸にしたコード補完AIです
      • 組織独自のコードや知識ベースに合わせてAIモデルを微調整でき、社内のコーディングスタイルやベストプラクティスを反映させられます
      • 20以上のプログラミング言語や複数のIDEに対応しており、多様な開発環境で使える「マルチ言語・マルチIDE対応」となります
    • チーム単位での管理・カスタマイズ
      • チームごとの管理機能や設定、チーム向けのカスタマイズ機能が提供され、組織全体で一貫したコーディングスタイルやルールを適用できます
    • Atlassianツールや他ツールとの連携
      • Atlassian Jira、Bitbucket、Confluenceと連携し、課題管理・コード管理・ナレッジ管理をAIで横断的に支援します
  • セキュリティ&ガバナンス

TabnineのAIモデルはApache-2.0やMITライセンスのオープンソースコードのみで訓練され、法的リスクを排除。推論時のコードはエフェメラル処理され、永続的に保存されない設計です。

  • アクセス制御:SAML/OIDC連携+IP制限リスト、RBAC
  • 監査ログ:個別問合せ(ログイン、メンバー追加等)
  • コンプライアンス:GDPR完全準拠、ISO 27001認証、CCPA対応

独自LLM&カスタムモデルAIの点が特徴があり欧米で普及しているツールです。個人的にはTabnineのWebサイトが分かりやすくおススメです。まだ日本では情報が少ないツールとなりますが、LLMを有していることで価格競争力や精度で優位性が出てくると面白いなと感じるツールです。

最後に

AI駆動開発のAIツールは日に日に新たな機能がアップデートされています。クリエーションラインでは、AIツールの実際の開発プロジェクトへの導入や効果的な活用方法について、実践を通じて知見を蓄積していています。

AI駆動開発の導入のステップは現行の開発体制やプロセスに応じて変わってきます。

AI駆動開発をどのように自社に取り入れていくかを検討されている方は、ぜひ当社の問い合わせフォームよりご相談ください。貴社の状況に応じて出来る限りアドバイスさせて頂きます!

参考:クリエーションラインAI駆動開発テックブログは こちら からもご覧いただけます。

AI駆動開発について興味関心があり、
ご相談があれば以下よりお問い合わせください

Author

2020年に生まれたCLキャラクター。CL内ではビジネス企画/マーケティングを担当。2024年はCLの取組みや学んだことを中心に発信していきます!アジャイル開発、クラウドネイティブ、AI/機械学習を中心にトレンドを調べたりプロジェクトチームに聞いたりして勉強中!

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