HOME > CLIENT VOICE > 車の運行データをSoftLayerに集めて解析、管理や教育に役立てる

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株式会社データ・テック(本社:東京都大田区)の主力商品は、自動車の運行データを自動的に記録するセイフティレコーダ ®(SR)という車載機器。法令でトラックなどへの装着が義務付けられているデジタコ(デジタル式運行記録計)としてだけでなく、“事故に遭いにくい運転”をドライバーに教える安全教育ツールとしても多くの運送事業者で使われています。2015年8月には、IoT時代の新サービス「SR-WEB解析システム」もIBMのクラウド「SoftLayer」上で始まる予定。その経緯について、技術本部・ソフトグループの熊切智一氏にお話をうかがいました。

SIMカードを使って車載機のデータを10分間隔で自動送信

SR-WEB解析システムではクラウドをどのような目的で使っているのですか。

これまでのSRシリーズの多くは、ジャイロセンサー搭載の車載機に装着したSDカードやメモリースティックに運行データなどを書き込む方式で使われていました。1日の乗務を終えて営業所に戻ったら、ドライバーのかたが車載機からSDカードなどを抜き取り、それを事務所のパソコンにセットして運行データを読み込ませるというやり方です。パソコンに組み込んだデータ解析ソフト「安全の達人」では運行チャート、乗務日報、指導書といった運行管理者向けのレポートのほか、運転のスムーズさをレーダーチャートで示す運転診断結果レポートも作成できますから、“事故に遭いにくい運転”をドライバーに教える安全教育ツールとしても使われています。

ただ、読み取り機と分析ソフトを備えたパソコンが事務所に何台も置かれているとは限りません。たくさんのドライバーをかかえるお客さまからは、「パソコンの前に行列ができて本来の業務に支障が出ている」という声をいただいていました。

そこで、新しく立ち上げるSR-WEB解析システムでは、SIMカードを使って車載機のデータを自動的にクラウドに送信・保管し、クラウド側のデータ解析ソフトで処理する方式を採用しました。データの吸い上げは、通常時で10分に1回。危険な状況になると、既定値として設定されている間隔にかかわらず、その都度データがクラウドに送られます。

SR-WEB解析システムはクラウドから提供するサービスですから、「安全の達人」をCD-ROMからお客さまのパソコンにインストールしておく必要はありません。一般的なWebブラウザーが組み込まれているパソコンであれば、どれを使っても解析結果やレポートの表示や印刷が可能。営業所を統括する支店や本社の管理センターでも同じ解析結果やレポートを取り出すことができます。また、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスへの対応についても、今後の課題として検討中です。

内製の要素技術と既存アプリケーションをSoftLayerに移植

SoftLayerとクリエーションラインのMSPの組み合わせを採用することにした決め手は?

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熊切 智一氏

いろいろな企業からさまざまな形態のクラウドが提供されていることは、もちろん、よく承知していました。そこで、数社に情報提供依頼(RFI)と提案要請(RFP)をした上で、(1)他社よりアプリケーションプログラムインターフェース(API)が豊富(2)同一コア数でも他社より仮想マシン(VM)の速度が速い(3)拠点間の通信で遅延がほとんど発生しない(4)性能と価格が明確に示されている、の4点を評価してSoftLayerを採用することに決めました。

SR-WEB解析システムを開発するにあたっては、車載機が収集したリアルタイムのセンサーデータをクラウドに直接に送信する「Internet of Things」(IoT)をいかに実現するか、を最重要の目標にしました。幸いなことに、この目標を達成するのに活用できそうな要素技術は社内に揃っていました。

例えば、携帯電話の電波を使って車載機の中のデータをお客さまの事務所のパソコンに送る仕組みを備えたSRV Digitacho Nというモデルは何年も前から販売していますし、弊社のデータセンターにはクラウドにVPN接続するためのソフトウェアモジュールもあります。あとは、弊社独自のアルゴリズムが組み込まれた「安全の達人」と内製の要素技術を組み合わせてSoftLayer上で動くように改修しさえすればうまく行きそうでした。

残された問題は、運用管理をどうするかということでした。従来は「安全の達人」を購入されたお客さまが自社のパソコンにそれをインストールし、バックアップなどの運用管理も自らされていました。

しかし、クラウドを使ってサービスを提供するということは、運用管理もこちら側でしなければならないということ。扱うのがお客さまのデータであるということを考えると、運用管理は信頼できる専門の会社にお願いしたほうがよいという結論になりました。そこで、SoftLayerについて豊富な経験と知見をお持ちのクリエーションラインさんに、運用を見据えた開発協力をお願いしました。

構築にはクリエーションラインの技術資料を活用

「安全の達人」をSoftLayerに移植するにあたって工夫された点は?

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いくつか苦労した点はありました。
われわれは2014年10月にSoftLayerの利用を開始したのですが、その時点では詳細な技術情報がほとんど手に入らなかったため、クリエーションラインさんがWebサイトで公開されているSoftLayer Configuration Guideを参考にして移植と構築を進めることにしました。また、弊社にクラウドデータベースを構築した経験がなかったため、その部分は、クラウドやソフトウェアとのつなぎ込みを含めてクリエーションラインさんに助けていただきました。携帯電話網とSoftLayerの接続テストも一筋縄ではいきませんでした。データがどこまで到達しているかの疎通確認がスムーズに行かず、ネットワークの設定を何度も見直したことを覚えています。

日本全国の運送事業者のかたがたに使っていただくシステムですから、運用管理についても入念な検討を加えました。具体的には、クリエーションラインさんからご提案いただいた運用管理案を基に、まずはデータを確実にバックアップするための体制を整備し、ピーク時間帯でもデータの受け取りや解析に待ちが発生しないようにするためのロードバランシング(負荷分散)の仕組みも用意しました。

これでクラウド版のデータ収集・解析システムは一応動き始めたわけですが、サービスインしたのは安全運転に関わる部分だけ。組み込めていないものがまだまだたくさんありますので、今後、段階的に拡張していくつもりです。今、自動車業界では、車載センサーが取得したデータを移動体通信経由でクラウドに集めてビッグデータとして処理するという取り組みが盛んです。弊社トップも「他社に負けるな」と考えているはずですので、SR-WEB解析システムに集まったデータのうまい活用法をこれからも継続的に考えていきたいと思います。

株式会社データ・テック

株式会社データ・テック

事業内容
業務用ドライブレコーダー、自動車機器の開発と販売
代表者
代表取締役 田野 通保
設立
1983年7月
資本金
8,555万円
URL
http://www.datatec.co.jp/

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