- 自社の基幹プラットフォームに関わる技術面のスキル底上げに向け
ヤフーがクリエーションライン「Kubernetes 基礎編」トレーニングを採用
※本事例取材はリモートインタビュー形式で実施
- 導入ハイライト
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- 様々な技術バックグラウンドを持つ参加者のスキル底上げを実現
- 体系化された講習内容や演習を通じて実務スキルを獲得
- Kubernetes やクラウド技術に関する全社的な最適化にも貢献
狙いは基幹プラットフォームKubernetesに関するスキルの底上げ
同社にとって、提供サービスだけでなく自社の企業運営においても社員の技術教育は欠かすことができず、中でも今回のトレーニングの対象となった Kubernetesは、その重要度が高い。「現在、弊社の中では Kubernetes上でサービス・アプリケーションを構築しており、このプラットフォームを担う方々が多数おりますが、新卒・中途を問わず入社時の段階では当然 Kubernetesのスキルが高いとは限りません。このため、一定のレベルまでスキルを引き上げるという目的で、関連教育トレーニングの受講を決定しました」(原氏)。

システム統括本部
技術支援本部 支援推進2部
部長 原 広大 氏
総合的なサービス品質の高さを評価しクリエーションラインを選択
Kubernetes等のトレーニングサービスを提供する会社は数多く存在する。そのような多くの選択肢の中から、クリエーションラインのサービスを選択した理由について、原氏は次のように述べている。「クリエーションラインを含め、複数社のトレーニングサービスを候補に挙げて比較検討しました。実際に受講した社員からのアンケートを基に、想定したレベルの内容になっているかという点や、講師、テキストなどについても評価した結果、クリエーションラインのトレーニングが弊社の期待していたレベルと品質をクリアしていると判断しました」
こうして同社では、クラウドプラットフォーム本部の社員14名を対象に、クリエーションラインが提供する「Kubernetes基礎編」への参加を決定した。
基礎学習から体系だった知識獲得に至るまで様々な期待を抱く14名がトレーニングを受講

システム統括本部
クラウドプラットフォーム本部
技術1部 平野 孝徳 氏
一方、自ら4名の中で1番事前知識が無かったと話すのが、システム統括本部 クラウドプラットフォーム本部 技術4部で全社的なメッセージキューの運用に携わり、Apache Pulsar等を扱う小国 英明(ひであき)氏だ。小国氏は「大学時代も入社後も Kubernetesを使う機会は無かったため、基本的な使い方やどういう仕組みで動いているかという点について知りたいと考えていました」と話す。
システム統括本部 クラウドプラットフォーム本部 技術3部で全社に向けたPaaS環境の提供に携わる柳戸 新一(しんいち)氏は「今回のトレーニング受講前に部署内で、OJTとして少しKubernetesを触る機会がありました。このため概要は把握できましたが、具体的にどのようになっているかなど、知識の穴を埋めることができればと考えていました」と話す。システム統括本部 クラウドプラットフォーム本部 技術1部で社内向けプライベートクラウドの構築と運用を担当する黒羽 正徳(まさのり)氏は「トレーニングを受ける直前に、部内で Kubernetesを一から構築するという対応を行いましたが、Kubernetes上でのアプリケーションやリソースがどのように動くかといった点等について学びたいと考えていました」とその期待について話す。
このように事前のスキルも異なり、トレーニングに対する期待も様々な4名の方々であったが、それぞれの期待を胸に、クリエーションラインが提供する「Kubernetes基礎編」を受講した。
体系化された様々な知識の習得や実際の演習を通じて実業務で活用できるスキルを獲得
1日目 |
・ 第1章 KubernetesArchitecture ・ 第2章 Pod-Basic ・ 第3章 Pod-Adv ・ 第4章 Deployment |
2日目 |
・ 第5章 Service ・ 第6章 DaemonSet ・ 第7章 PersistentVolume ・ 第8章 StatefulSet ・ 第9章 Schedule |

システム統括本部
クラウドプラットフォーム本部
技術4部 小国 英明 氏
平野氏は「体系的に学ぶことを期待していましたが、実際に知らなかった知識、例えばPod Affinityや Anti-Affinityについて習得できた点は非常に良かったと感じました。これまでは、どこが分からないのかという全貌が見えていませんでしたが、体系化された教育によって自信が得られました」と感想を述べた。さらに今後トレーニングを受講する方々に向け「非常に内容の質が高いトレーニングです。かなり細かい部分まで取り上げて頂きながら、論理的で分かり易い内容だったと思います」と話す。

システム統括本部
クラウドプラットフォーム本部
技術3部 柳戸 新一 氏
柳戸氏は実際の業務での活用という面で「事前に部署で Kubernetesを触っていたものの、こうすればこう動くと感覚的に捉えていました。今回、正しい体系化されたトレーニングを受けたことで、理解が深まり、実際の業務でも習得した知識が活かせるようになったと感じています」と話す。また「非常に凝縮された中身の濃いトレーニングとなっているため、可能であれば事前学習しておくことで、より多くの内容を得ることができるでしょう。事前知識は講義を受ける際だけでなく、質問をする際にも活きると思います」とアドバイスする。
黒羽氏は「Kubernetes上で何ができるかといった点を知りたいと考えていましたが、しっかり学べたと思います。具体的にはYAMLファイルの書き方、読み方について非常に丁寧に教えて頂いたり、実際に手を動かしてPodを扱ったりすることができ、Kubernetesの全体像を把握することができました」と強調する。また「事前に Kubernetesの構築を行っていたのですが、トレーニングを受けることで改めて体系立てて学習ができ、次の仕事に活かせそうだと感じています」と事前学習の効果について話す。
小国氏も「例えば、このようにYAMLファイルを書いて起動するといった内容や、実際にPodを消してみて、自動でもう1つPodが復元されるといった動きを確認するなど、Kubernetesをより身近に体感することができました」とより具体的なトレーニングの効果を明らかにした。そして「自分の場合には、前提知識が全くない状態で参加しても知識を習得できました。使用したテキストも内容的に非常に丁寧につくられていて、順番に進めていけば十分に理解できる内容でした」と述べた。
手厚いサポートなど運営面での優位性も評価。全体として一定レベルのスキル向上の手ごたえを得る
一方、オンライン形態で実施されるトレーニングという点に関しては、4名の皆様が「特に問題なく実施できた」と回答。コロナ禍の数年をリモート環境で過ごした経験もあり、実際のトレーニングルームに集まらないバーチャルな教育スタイルでも十分に知識取得が可能なことを明らかにした。

システム統括本部
クラウドプラットフォーム本部
技術1部 黒羽 正徳 氏
このようなトレーニング受講者からの一連の感想を受け、全体を総括する形で原氏は「アンケートを配布し事前にコメントも確認していましたが、実際に受講者の皆さんの話を聞くと、実に幅広いバックグラウンドの方々に参加頂いたと感じると同時に、全体として一定レベルのスキル向上が図れたという手ごたえを実感しています。もちろん実務を通じて先輩社員から学ぶという形もあるかと思いますが、基礎の部分を含めて体系化された形で学び直すという機会は実際にはあまりないので、今回の受講は十分効果があったと判断しています」とトレーニングの効果について言及した。
■トレーニングが不要な受講者、トレーニングで効果が発揮されない受講者や状況とは?
最後に、これまでとは全く逆の視点から、トレーニングを受ける必要がない受講者や、トレーニングで効果が発揮されない受講者や状況についても、お話をうかがってみた。
平野氏は「これは講師からも話が出ましたが、トレーニングで扱っている内容は、基本的に Kubernetesの公式ドキュメントを一通りおさらいしておけば、十分理解できる内容となっています。このため、Kubernetesのドキュメントをしっかり体系的に学習したことのある方は、あえて今回のような基礎編のトレーニングを受ける必要はないと感じました」と話す。小国氏や柳戸氏は「長期的に Kubernetesを使わない人には不要だと思います。せっかく学んでも、それが使われずその場限りで終わってしまうような場合には、本人にとっても意味がないものになってしまうからです。逆に仮に使わない場合でも、エンジニアとしての知識として必要だという意思を持っている人にとっては、十分有効なものとなると思います」と強調した。
今後の展望:全社での最適化に向けさらなる教育の横展開を図る
今回のトレーニングで確実な期待効果を実感した同社だが、原氏は既に次のステップを見据えている。
「今回はクラウドプラットフォーム本部にて本研修の導入を決定し受講して頂きましたが、全社的な視点から見た場合、Kubernetesやクラウド関連の研修については、今回のように本部内での個別最適の段階にあると感じています。今後はこのような事例をもとに、全社規模で横展開を進めて、これらの技術に関する全体最適化を図りたいと考えています」
UPDATE JAPANを念頭に、益々重要度が高まる社員の技術教育を積極果敢に推し進めるヤフー。
そんな同社の教育の一環として利用されたクリエーションラインのトレーニングサービスは、エンタープライズをはじめ多くの企業に導入され、その社内技術教育に貢献していくだろう。
お客さま情報
ヤフー株式会社
■ 企業概要
【ヤフー株式会社】
http://www.yahoo.co.jp/
Zホールディングス株式会社(市場名:東証1部、銘柄コード:4689)の子会社であるヤフー株式会社は、1996年4月にサービスを開始したYahoo! JAPANをはじめ、eコマース、検索、ニュースなど約100のサービスを提供し、約8,000万人が利用する日本最大級のインターネットサービスプロバイダ―です。
■ 本社所在地:
東京都千代田区紀尾井町1-3
東京ガーデンテラス紀尾井町
紀尾井タワー
■ 設立:
1996年1月
*会社分割により、持株会社体制に移行。現在のヤフー株式会社の事業開始日は、2019年10月1日
■ 従業員数:
7,167名
(2021年3月31日現在)